任意監査とは

任意監査とは?メリット・デメリットと法定監査との違いをわかりやすく解説

会社の経営や財務状況を正しく把握するために行う「監査」。

その中でも、会社が自主的に行う監査を「任意監査」と呼びます。

法定監査とは異なり、規模や義務の制約はなく、会社の判断で柔軟に実施できるのが特徴です。

この記事では、任意監査の種類やメリット・デメリット、法定監査との違いを初心者にもわかりやすく解説します。

任意監査とは

任意監査とは、会社が自主的に監査の目的や内容を決めて実施する監査です。法律で実施が義務付けられているわけではなく、会社や第三者が監査人(監査法人や公認会計士)に依頼して行います。任意監査における監査人は、法的責任を負うことはありません。

任意監査を行う主な目的

  • 上場準備やIPOに向けた財務の確認

  • 企業売買や営業譲渡の際の財務状況の確認

  • 投資家や取引先からの信頼性確認

  • グループ会社からの依頼

 

任意監査の種類

任意監査は大きく「内部監査」と「外部監査」に分けられます。

1. 内部監査

社内担当者や監査部門が行う監査です。主に以下の内容をチェックします:

  • 経営面:リスクマネジメントや内部統制、コーポレートガバナンスの運用状況

  • 業務面:業務マニュアルの整備状況と実施状況

内部監査は社内の目線での改善点を把握し、日常業務の効率化や不正防止に役立ちます。

2. 外部監査

外部の監査法人や公認会計士に依頼して行う監査です。大企業は義務ですが、中小企業でも取引先や金融機関に自社の健全性を示すために実施されることがあります。財務状況や業務運営の妥当性を客観的に評価してもらえる点が特徴です。

任意監査のメリット

1. 組織の状況を確認できる

任意監査を行うことで、経営状態や内部統制の整備状況を客観的に確認できます。特に外部監査の場合、専門家の視点から改善点やリスクを指摘してもらえるため、組織運営の質向上につながります。

2. 自社の透明性をアピールできる

自主的に監査を行うことで、自浄能力のある会社として取引先や金融機関に信頼を示せます。健全経営を心掛ける企業としてのブランド向上にも貢献します。

3. 不正を早めに発見できる

任意監査は、法令違反や不正を早期に発見するためにも有効です。不正を未然に防ぐことで、会社の利益や信用を守ることができます。

任意監査のデメリット

1. 準備に時間と手間がかかる

任意監査を行う場合、経営や財務に関する資料を整備する必要があります。特に外部監査の場合は、指示通りに資料を準備することが求められ、日常業務との兼任になることもあります。

2. 監査法人との調整が必要

外部の専門家に監査を依頼すると、日程調整や事前確認など多くのやり取りが発生します。準備や調整が煩雑になると、時間やコストが増える可能性があります。

任意監査と法定監査の違い

区分 内容 備考
任意監査 会社が自主的に実施する監査 対象会社や内容に制限なし、監査人の法的責任はなし
法定監査 法律で義務付けられた監査 上場企業や大会社は外部監査人による実施が必要。未実施の場合は過料の可能性あり

法定監査は、外部の会計監査人が行い、社内担当者が実施することは認められていません。会社法や金融商品取引法に基づき、財務諸表や内部統制の監査が義務付けられています。

まとめ:任意監査を計画する前に

任意監査は、会社の透明性向上や不正防止に役立つ一方で、準備や調整に時間やコストがかかる点には注意が必要です。自社の規模や目的に応じて、メリットとデメリットを十分に理解した上で実施することが重要です。

会社の健全性を示す手段として、任意監査は有効な選択肢となります。取引先への信頼性アピールや、内部統制の改善にもつなげることができるため、経営戦略の一環として検討してみましょう。

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