企業の財務情報を正しく理解する上で重要な「会計方針」。
会計方針は、財務諸表の作成において会社が採用する会計処理の原則や手続きを指します。
この記事では、会計方針の基本、代表的な例、そして「会計方針の変更」について、初心者にもわかりやすく解説します。
会計方針とは
会計方針とは、財務諸表を作成する際に会社が採用する会計処理のルールや方法のことです。日本では、過年度遡及会計基準第4項において定義されており、企業がどの会計処理方法を採用しているかを財務諸表の利用者にわかりやすく示すことが求められています。
会計方針が重要な理由
-
利益や資産評価に影響する
-
財務諸表の透明性を高める
-
利用者(投資家、取引先、金融機関など)が企業の財務状況を理解しやすくなる
特に、複数の方法が認められている棚卸資産や有価証券、固定資産の減価償却方法などでは、採用する方法によって利益額が変わるため、会計方針の注記が必須です。
代表的な重要会計方針の例
企業の財務諸表で注記が必要な会計方針の代表例は以下の通りです。
-
有価証券の評価基準・評価方法
公正価値法や取得原価法など、どの方法を採用するかで評価額が変わります。 -
棚卸資産の評価基準・評価方法
先入先出法(FIFO)や総平均法など、在庫評価方法を選択します。 -
固定資産の減価償却方法
定額法・定率法など、資産の減価償却方法によって費用計上のタイミングが異なります。 -
繰延資産の処理方法
創立費や開発費の費用化タイミングを明確化します。 -
外貨建資産・負債の換算基準
円換算のタイミングや方法を定めます。 -
引当金の計上基準
貸倒引当金や退職給付引当金の算定方法を決定します。 -
費用・収益の計上基準
発生主義か現金主義かなど、収益や費用の認識タイミングを定めます。
なお、代替的な会計基準が認められていない項目については、会計方針の注記を省略できます。
会計方針の変更とは
会計方針は原則として継続適用が求められますが、企業の事業内容や経営環境の変化に対応したり、財務諸表をより適切に反映させるための正当な理由がある場合、変更が認められます。過年度遡及会計基準第4項(5)で定義されており、変更の際は以下の要件を満たす必要があります。
会計方針変更の要件
-
事業内容や企業内外の経営環境の変化に対応して行われること
-
会計事象を財務諸表により適切に反映するために行われること
変更が行われた場合、財務諸表には原則として変更した旨と影響額を注記する必要があります。これにより、投資家や取引先など、財務情報を利用する第三者が影響を正確に把握できます。
まとめ
-
会計方針は財務諸表作成の基礎となるルールであり、企業の透明性や財務状況理解に不可欠です。
-
代表的な会計方針には、有価証券評価、棚卸資産評価、固定資産減価償却方法などがあります。
-
会計方針の変更は、正当な理由があれば認められますが、変更内容と影響額を財務諸表に注記することが求められます。
企業の財務状況を正しく理解するためには、会計方針をしっかり把握することが重要です。投資判断や経営分析を行う際は、必ず財務諸表の注記も確認しましょう。
こちらもご覧ください

