企業の信頼性を支える重要な仕組みのひとつが「会計監査(かいけいかんさ)」です。
財務諸表の正確性を確認するだけでなく、企業のガバナンスや内部統制の健全性を保つ役割も担っています。
本記事では、会計監査の意味や目的、種類、監査の流れ、そして準備すべき書類まで、わかりやすく解説します。
会計監査とは
会計監査とは、企業の財務諸表が適正に作成されているかを第三者が検証する手続きのことです。
つまり、企業が公表する「決算書(損益計算書・貸借対照表など)」が、事実に基づいて正しく表示されているかを独立した監査人(公認会計士または監査法人)が確認します。
監査を受けることで、投資家・取引先・金融機関などの利害関係者に対し、企業の経営状況が正確であることを保証できます。
会計監査の目的
会計監査には次のような目的があります。
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財務情報の信頼性を確保すること
粉飾決算などの不正を防ぎ、外部関係者が安心して企業の情報を利用できるようにします。 -
内部統制の有効性を確認すること
経理・会計の仕組み(内部統制)が適切に運用されているかを確認し、ミスや不正を未然に防ぐ目的もあります。 -
企業のガバナンスを強化すること
経営者以外の第三者の視点が入ることで、経営の透明性が高まります。
会計監査の種類
会計監査には、法律や目的に応じていくつかの種類があります。
1. 金融商品取引法監査
上場企業など、金融商品取引法の適用を受ける企業が行う監査です。
投資家保護を目的としており、監査報告書を有価証券報告書に添付して提出します。
2. 会社法監査
一定規模以上の株式会社が受ける監査です。
大会社や監査役会設置会社などでは、会計監査人を選任して法定監査を受ける義務があります。
3. 任意監査
法律で義務付けられていないが、信頼性を高めたい中小企業や学校法人、医療法人などが自主的に受ける監査です。
融資審査や補助金申請時の信用度向上に役立ちます。
会計監査の流れ
会計監査は、一般的に以下のような流れで進められます。
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期首打合せ(監査計画の策定)
監査人と企業が年度初めに打ち合わせを行い、監査方針やスケジュールを確認します。 -
期中監査(中間監査)
年度途中に、売上や経費処理、内部統制の運用状況を確認します。
この段階で問題点が見つかれば、改善を求められることもあります。 -
期末監査(決算監査)
決算書の内容や残高の正確性を検証します。
売掛金の残高確認や在庫実査など、より詳細なチェックを行います。 -
監査報告書の提出
監査が完了すると、会計監査人が「監査報告書」を発行します。
監査意見として「適正意見」「限定付き適正意見」「不適正意見」「意見不表明」などが示されます。
会計監査の時期
監査は通常、決算期末から2〜3か月以内に実施されます。
ただし、上場企業などは期中監査を含めて年2回程度行うことが一般的です。
スムーズな監査対応のためには、日頃から証憑類の整理や経理処理の一貫性を保つことが大切です。
会計監査に必要な書類
監査人が確認する代表的な書類は以下のとおりです。
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財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)
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総勘定元帳、仕訳帳
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売上・仕入の請求書、契約書
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銀行残高証明書、預金通帳
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在庫台帳、固定資産台帳
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役員会議事録、株主総会議事録
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内部統制に関する文書・マニュアル
これらの資料をあらかじめ整理しておくことで、監査対応の負担を大幅に軽減できます。
会計監査を受ける企業のメリット
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経理の透明性が高まり、投資家や銀行の信用を得やすくなる
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不正防止や経理ミスの早期発見につながる
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経営改善のヒントを得られる
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上場・資金調達・M&Aなどの際に有利になる
まとめ:会計監査とは企業の信頼性を支える柱
会計監査とは、企業が作成した財務諸表の正確性と信頼性を保証する制度です。
法律で義務付けられている企業もあれば、任意で実施するケースもありますが、
いずれの場合も、監査を受けることで経営の健全性が高まり、外部からの信頼を得やすくなります。
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