企業経営において「会議費」はよく使われる経費のひとつですが、取り扱いを間違えると法人税や経理処理に影響を与えることがあります。
特に「接待交際費」との区分や、損金算入の可否、上限の考え方は押さえておきたいポイントです。
本記事では、会議費の基本から具体的な仕訳例、損金算入の条件まで、初心者でもわかるよう丁寧に解説します。
目次
-
会議費とは?
-
会議費と接待交際費の違い
-
会議費に上限はある?
-
会議費の損金算入と注意点
-
接待交際費の特例と飲食費の基準
-
会議費の具体例と「1人当たり金額」の考え方
-
会議費の仕訳方法
-
個人事業主の会議費
-
まとめ:適切な会議費の計上で法人税リスクを回避
1. 会議費とは?
会議費とは、社内外の会議や打ち合わせにかかる費用のことです。具体的には以下のような費用が含まれます。
-
会議室のレンタル代
-
会議資料や印刷費
-
飲食費(昼食程度で、会議が主目的の場合)
社内だけで行う会議でも、取引先など外部の人を含めた会議でも、会議目的が明確であれば会議費として計上可能です。会計上は、損益計算書の「販売費及び一般管理費」に分類されます。
2. 会議費と接待交際費の違い
会議費と接待交際費の区別は、法人税の計算上非常に重要です。
-
会議費:会議や打ち合わせが主目的で、やむを得ず軽食を提供する場合
-
接待交際費:取引先や事業関係者との接待・慰安・贈答など、会議が主目的ではなく食事や接待が主目的の場合
原則として、取引先との食事が主目的の場合は接待交際費に分類されます。誤って会議費で処理すると、損金算入の可否でトラブルになる可能性があります。
3. 会議費に上限はある?
会議室代や資料費などの会議費自体には上限はありません。しかし、飲食を伴う場合は常識的な範囲(昼食程度)が目安です。
-
社内会議:1人あたり昼食程度の費用
-
社外との会議:1人あたり10,000円以下(令和6年度税制改正後)
この上限を超えると、会議費ではなく接待交際費として扱われる可能性があります。
4. 会議費の損金算入と注意点
法人の場合、会議費は原則すべて損金算入できます。ただし、接待交際費に該当するものを会議費で計上すると、超過部分は損金不算入となります。
-
会議費として損金算入できるのは「会議が主目的である費用」
-
接待交際費に該当する場合は、法人税法上の制限あり
5. 接待交際費の特例と飲食費の基準
中小法人(資本金1億円以下)は、以下の特例が適用可能です。
-
年間800万円までの交際費等を全額損金算入
-
接待飲食費の50%を損金算入
また、令和6年度税制改正により、1人当たり飲食費10,000円以下は交際費から除外可能となり、会議費として損金算入できます。
6. 会議費の具体例と「1人当たり金額」の考え方
ケース例
-
取引先4名との会議で昼食代総額4万円(1人1万円)
→ 会議費として損金算入可能 -
1人当たり10,001円の場合
→ 超過部分も含めて接待交際費扱いになり、損金算入不可
消費税の経理方式によって判定額が異なる点にも注意が必要です。
7. 会議費の仕訳方法
例1:社内会議の会議室代 2万円
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 会議費 20,000円 | 現金 20,000円 |
例2:取引先との会議での飲食費 2万円
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 会議費 20,000円 | 現金 20,000円 |
会議費の勘定科目を使い、経理上正確に記録することが重要です。
8. 個人事業主の会議費
個人事業主の場合も、事業に必要な会議費は経費として計上可能です。注意点は以下です。
-
事業用とプライベートの支出を明確に区分
-
会議室代や会議に伴う飲食費のみ対象
-
接待交際費の上限は法人ほど厳しくない
9. まとめ:適切な会議費の計上で法人税リスクを回避
会議費は、会議や打ち合わせに必要な費用であれば損金算入可能ですが、接待交際費との区分や金額の上限を理解しておくことが重要です。経理担当者は以下を押さえましょう。
-
会議の目的と費用の関連性を明確にする
-
飲食費は常識的な範囲(1人あたり昼食程度)で計上
-
必要書類(領収書、参加者、金額など)を保存
-
個人事業主も事業用のみ区分して計上
正しい会議費の処理により、法人税リスクを回避し、経理業務の効率化にもつながります。
さらに参照してください:

