損害保険会社や生命保険会社の決算書を見ていると、「保険引受利益(ほけんひきうけりえき)」という用語が出てきます。
普段あまり聞き慣れない言葉ですが、保険会社の本業による収益力 を示す重要な指標です。
この記事では、保険引受利益の意味・計算方法・生命保険における基礎利益との関係 をわかりやすく解説します。
保険引受利益とは?
保険引受利益とは、損害保険会社が保険の引受によって得る利益のこと を指します。
「引受利益」とも呼ばれ、保険会社の本業による収益を示す代表的な指標です。
保険会社の収益は大きく分けて次の2つに分かれます。
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保険本業による利益(保険引受利益)
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運用による利益(資産運用益)
このうち「保険引受利益」は、保険料収入と保険金支払いの差し引きによって生まれる、本業の収支を測るものです。
保険引受利益の計算方法
損害保険会社における保険引受利益は、次のように計算されます。
用語のイメージ
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保険引受収益:保険料収入や再保険収入など
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保険引受費用:保険金や解約返戻金の支払いなど
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営業費・一般管理費:販売や事務にかかる費用
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その他収支:雑収益や雑損失の調整
つまり、「保険を引き受けて得た収入」から「保険金支払いなどのコスト」と「運営に必要な経費」を差し引き、調整したものが保険引受利益です。
生命保険会社における「基礎利益」との関係
生命保険会社の場合、損害保険会社の「保険引受利益」にあたる指標は 基礎利益 と呼ばれます。
基礎利益は、生命保険会社の本業による収益力を示し、次の3つの差益を合計して計算されます。
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利差益:予定利率と実際の運用利回りの差
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費差益:予定していた事業費と実際にかかった事業費の差
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死差益:予定死亡率と実際の死亡率の差
これらを合計したものから臨時の損益を差し引いたものが「基礎利益」となり、損保の「保険引受利益」と同じように本業の収益を示します。
保険引受利益が重要な理由
1. 保険会社の健全性を測る指標
保険引受利益がプラスであれば、本業の保険引受が健全に機能していることを意味します。
逆にマイナスの場合は、保険料収入に対して保険金支払いなどのコストが大きい可能性があり、収益性に課題があると判断されます。
2. 利用者にとっての安心材料
契約者にとっても、保険会社の健全経営は非常に重要です。
保険引受利益が安定している会社は、長期的に保険金支払い能力が高く、安心して契約を継続できます。
まとめ
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保険引受利益とは、損害保険会社が保険引受で得る本業の利益のこと
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計算式は「保険引受収益-費用-経費+その他収支」で算出される
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生命保険会社では「基礎利益」が同様の意味を持ち、利差益・費差益・死差益から構成される
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保険引受利益は、保険会社の収益力・健全性を判断する重要な指標
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