先渡取引は、将来の特定の日に商品や資産を事前に決めた価格で売買する契約です。企業会計や金融取引の現場でよく使われますが、初心者にとっては「先物取引」と混同されやすいのも事実です。本記事では、先渡取引の基本から特徴、仕組み、先物取引との違いまで、事例を交えながらわかりやすく解説します。
先渡取引とは?
先渡取引とは、ある商品や資産を将来の指定された日付に、あらかじめ取り決めた価格で売買する契約のことを指します。
ポイントは以下の通りです。
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相対取引で行われる:取引所ではなく、売買当事者同士で条件を自由に設定できる
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現物決済が基本:実際に商品や資産の受け渡しが行われる
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価格変動リスクの調整:契約期日までに価格が変動した場合、取引先との交渉で契約内容を調整することも可能
先渡取引の仕組み
先渡取引では、契約時に次の内容を決めます。
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商品や資産の種類
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数量
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取引日(受渡日)
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取引価格
例えば、企業Aが半年後に1,000個の部品を購入するとき、価格が変動するリスクを避けるために、契約時点で価格を固定して取引することができます。この場合、受渡し時には事前に決めた価格で代金を支払います。
先渡取引と先物取引の違い
先渡取引と似ているのが先物取引ですが、いくつか重要な違いがあります。
| 項目 | 先渡取引 | 先物取引 |
|---|---|---|
| 取引場所 | 店頭(OTC)で相対取引 | 取引所で標準化された契約 |
| 決済方法 | 現物決済が基本 | キャッシュ決済や現物決済 |
| 契約条件 | 当事者間で自由に設定可能 | 契約単位・期日・品質など標準化 |
| 必要資本 | 商品代金分が必要 | 証拠金制度により少額でも取引可能 |
このように、先渡取引は柔軟性が高く実物受渡しが前提ですが、先物取引は標準化されており、決済方法や取引単位が決まっています。
外国為替における先渡取引
外国為替市場でも先渡取引は用いられます。この場合、取引から3営業日以降に通貨の受渡しが行われることが一般的です。
特徴として、相対取引で行うため、取引条件や単位、期日を自由に設定できることが大きなメリットです。企業は為替リスクを管理する目的で先渡取引を活用することがあります。
まとめ
先渡取引は、将来の受渡しを前提に価格を固定する売買契約であり、取引の柔軟性が高いことが特徴です。
ポイントをまとめると以下の通りです。
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商品や資産の種類、数量、価格、受渡日を事前に決める
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相対取引であり、条件や単位を自由に設定可能
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現物決済が基本で、契約時点で資本が必要
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先物取引とは決済方法や標準化の有無で異なる
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外国為替取引でも3営業日以降に受渡しが行われる
企業会計やリスク管理の現場では、先渡取引を正しく理解することが重要です。これにより価格変動リスクの回避や資金管理がスムーズになります。
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