企業の会計処理を行う際、「公租公課(こうそこうか)」という勘定科目を見たことはありませんか?
経理初心者には少し難しく感じる言葉ですが、実は税金や社会保険料など、国や自治体に納めるお金の総称のことです。
この記事では、公租公課の意味や具体例、仕訳方法、損金算入の可否まで、わかりやすく解説します。
🏛️公租公課とは?
公租公課(こうそこうか)とは、国や地方公共団体が公の目的のために課す金銭的な負担のことです。
別名「租税公課(そぜいこうか)」とも呼ばれます。
企業や個人事業主が国・自治体に納める義務のある税金や負担金などが含まれ、会計上は「費用」として処理されます。
💡簡単に言えば、「会社が国や自治体に支払うお金のうち、事業活動に関係するもの」が公租公課です。
📘公租公課の内訳:「公租」と「公課」の違い
公租公課は、2つの要素から構成されています。
区分 | 内容 | 主な例 |
---|---|---|
公租 | 国税・地方税などの租税 | 法人税、消費税、固定資産税、事業税、住民税など |
公課 | 租税以外の公的な負担金 | 社会保険料、健康保険料、厚生年金保険料、労働保険料など |
つまり、「公租」は“税金”、
「公課」は“税金以外の公的な支払い”を意味します。
🧾公租公課に含まれる主な勘定項目
公租公課に該当する具体的な支出の例は以下のとおりです。
🔹国税に該当するもの
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法人税
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消費税(仕入控除前の支払分)
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印紙税
🔹地方税に該当するもの
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固定資産税
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事業税
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都道府県民税・市町村民税
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自動車税・不動産取得税
🔹租税以外の公課
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健康保険料(会社負担分)
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厚生年金保険料(会社負担分)
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労災保険料・雇用保険料
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商工会・組合などへの会費(公的性質があるもの)
⚙️公租公課の仕訳例
実務では、以下のように仕訳処理します。
例1:固定資産税を支払った場合
例2:印紙税を支払った場合
例3:会社負担の社会保険料を支払った場合
💡損金算入できないものに注意!
公租公課のすべてが損金算入できるわけではありません。
以下のような罰則的・預かり性の費用は公租公課には含まれません。
損金不算入の例 | 理由 |
---|---|
延滞税・加算税・罰金 | ペナルティ性があるため |
源泉所得税の預かり分 | 他人(従業員など)の税金であり、自社の費用ではない |
配当金や利息にかかる源泉税 | 予納的性質を持つため |
🧮公租公課はどの費用区分に入る?
公租公課は、損益計算書上では「販売費および一般管理費」に含まれます。
企業の経費として「損金算入」が認められるため、節税効果も期待できます。
ただし、前述のとおり罰金や延滞税などは損金にならないため、科目区分を誤らないよう注意が必要です。
🏁まとめ:公租公課は「公的支出」の基本科目
ポイント | 内容 |
---|---|
定義 | 国や地方公共団体に課される金銭負担の総称 |
構成 | 公租(税金)+ 公課(社会保険料など) |
主な勘定科目 | 法人税、固定資産税、印紙税、社会保険料など |
会計処理 | 販売費および一般管理費として損金算入 |
注意点 | 延滞税・罰金などは含まれない |
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