事業を行ううえで必ず関わる「公租公課」。
会社の経理や個人事業主として帳簿付けをする際にも頻繁に登場する重要な勘定科目です。
しかし、
「公租と公課の違いは?」
「どの税金が公租公課に含まれるの?」
「仕訳はどうすればいい?」
と疑問に思う方も多いはずです。
この記事では、会計実務の視点から 公租公課の意味・具体例・会計処理・注意点 をわかりやすく解説します。
公租公課とは?基本の意味をやさしく説明
公租公課(こうそこうか)とは、国や地方公共団体が公の目的のために賦課・徴収する金銭負担の総称です。
会計処理では「租税公課」と呼ばれることもあります。
事業を営む会社や個人事業主にとって、税金や社会保険料などの支払い時に使用する代表的な勘定科目です。
公租と公課の違い
「公租公課」は2つの言葉の組み合わせで成り立っています。
● 公租(こうそ)
国税・地方税などの 租税 を指します。
例:所得税、住民税、固定資産税、印紙税 など
● 公課(こうか)
租税以外の 公的な負担金 を指します。
例:健康保険料、社会保険料、事業者負担金、組合費 など
一般的に「税金=公租」、「税金以外の公的負担=公課」と覚えると理解しやすいでしょう。
公租公課に含まれるもの(具体例)
公租公課として会計処理される例は次のとおりです。
● 国税(公租の一部)
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法人税(※損金不算入)
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消費税
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印紙税
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登録免許税 など
● 地方税(公租の一部)
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固定資産税
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事業税
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自動車税
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不動産取得税 など
● 公課の一部
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社会保険料(健康保険・厚生年金保険の会社負担分)
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雇用保険などの事業主負担分
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加入組合への負担金 など
特に「固定資産税」「不動産取得税」「印紙税」は、公租公課として処理する代表的な項目です。
公租公課に含まれないもの
以下のように、罰則的な性質や予納的性質を持つ支出は公租公課に含めません。
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延滞税・延滞金・加算税
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違反金・罰金
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預金利子や配当金にかかる源泉所得税(予納税)
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法人税(損金不算入のため)
性質が異なるため、誤って公租公課に含めないよう注意が必要です。
公租公課の会計処理(勘定科目・仕訳)
公租公課の支払いは、**販売費および一般管理費(販管費)**として処理されます。
損益計算書(PL)では、事業に必要な費用として「損金算入」されるのが一般的です。
▼ 仕訳例:固定資産税を現金で支払った場合
▼ 仕訳例:社会保険料(事業主負担分)を支払った場合
税金や社会保険料ごとに勘定科目を使い分ける企業もありますが、一般的には「公租公」が多く使用されます。
公租公課の実務でよくある疑問
● Q. 法人税は公租公課になりますか?
A. なりません。
法人税は損金不算入のため、別枠で処理します。
● Q. 罰金や延滞金はどう扱う?
A. 公租公課ではなく「雑損失」などで処理します。
● Q. 個人事業主の住民税も公租公課?
A. はい。個人事業主の住民税も公租公課として処理されます。
公租公課の理解は経理業務の基本
公租公課は、会社・個人事業主のどちらでも頻繁に登場する重要な勘定科目です。
税金や社会保険料の性質によって、計上すべきかどうかが分かれるため、正しい知識が必要です。
ポイントのおさらい
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公租公課=公的な目的で徴収される税金・負担金の総称
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公租=税金、公課=税金以外の公的負担
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固定資産税・印紙税・社会保険料などは公租公課に計上
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罰金や延滞金は含まれない
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PLでは販管費として処理される
正しく理解することで、会計処理のミスを防ぎ、経理業務をスムーズに進めることができます。
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