税金の話って、とにかく専門用語が多くてとっつきにくいですよね。特に「分離課税」「総合課税」といった課税方式は、仕組みがわかりづらく、確定申告のたびに悩む方も多いところです。
この記事では、そんな分離課税の仕組み、対象となる所得、総合課税との違いまで、会計の専門家としてやさしく整理していきます。初めて確定申告に挑む方でもスッと理解できる内容になっています。
分離課税とは?
分離課税とは、所得税の計算方法のひとつで、ある特定の所得だけを他の所得と切り離して課税する方式です。
通常、給与所得や事業所得などは「総合課税」といって、年間の所得を合算し、累進税率を適用します。これに対して分離課税は、一部の所得を総合課税に含めず、独立した税率で課税する方式です。
「総合課税の対義語」だと誤解されることがありますが、実際には総合課税の中の一部区分を切り離して課税する方式と捉えるのが正確です。
分離課税のメリットは、累進税率の影響を受けにくいため、所得が多い人でも税率が一定で済むケースがあることです。
分離課税には2種類ある
日本の所得税法では、次の2つの分離課税方式が存在します。
・源泉分離課税
・申告分離課税
それぞれ仕組みも対象も異なります。ここから詳しく見ていきましょう。
源泉分離課税とは
源泉分離課税は、特定の所得について、支払われる時点で一定の税率が源泉徴収され、それによって納税が完結する方式です。原則、確定申告は不要です。
対象となる主な所得は次のとおりです。
・預貯金の利子
・債券の利子
・公社債投資信託の収益分配金
・金融類似商品の雑所得
これらの利子等は20%(所得税15%+住民税5%)で源泉徴収され、その時点で税金の処理が完結します。あとで確定申告して税率を変えることはできません。
「銀行に預けている預金の利息は最初から税金が引かれて振り込まれている」という仕組みがまさにこれです。
申告分離課税とは
申告分離課税は、確定申告によって納税するタイプの分離課税です。対象となる所得だけ独立して税額を計算します。
申告分離課税の対象となる主な所得は次のとおりです。
・退職所得
・山林所得
・土地や建物の売却益(譲渡所得)
・株式の譲渡益
・先物取引、FXによる雑所得
・上場株式等の配当金(選択制)
このうち、上場株式の配当金は「総合課税」か「申告分離課税」のどちらかを選べます。選ぶ基準は主に税率です。
【申告分離課税】
所得税15%+住民税5%=20%
【総合課税】
所得税5〜45%+住民税10%
所得が多いと税率が上がるのがポイント。
たとえば、高所得者ほど総合課税だと税率が高くなるため、20%で固定される申告分離課税を選んだ方が有利になるケースがあります。
まとめ
分離課税は、特定の所得を他の所得と切り離し、独立した税率で課税する方式です。日本の所得税では「源泉分離課税」と「申告分離課税」の二種類があり、それぞれ対象となる所得と仕組みが異なります。
・源泉分離課税は利子などに20%が源泉徴収され、確定申告不要
・申告分離課税は株式や土地の売却益などが対象で、確定申告が必要
・上場株式の配当は、総合課税か申告分離課税かを選べる
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