医療費控除

医療費控除(いりょうひこうじょ)とは?仕組み・計算例・注意点をやさしく解説

「病院代が高かったけど、税金が安くなるって本当?」
「医療費控除ってどうやって申告するの?」

そんな疑問を解決するために、**医療費控除(いりょうひこうじょ)**の意味、対象になる医療費、計算方法、申告のポイントをやさしく解説します。

✅ 医療費控除とは?

医療費控除とは、

自分や家族の医療費をたくさん支払ったときに、確定申告をすることで所得税や住民税を軽減できる制度

です。

✅ 所得控除の一種で、税負担を軽くする仕組みです。
✅ 本人だけでなく、「生計を一にする配偶者や家族」の医療費も合算OK。

✅ 医療費控除の対象となる人

次の条件を満たせば誰でも利用可能です。

  • 日本国内に住所がある納税者

  • 確定申告をする人

  • 本人や生計を一にする家族のために医療費を払った人

✅ 「生計を一にする」とは
同じ家計から生活費を出し合っているイメージです。別居でも仕送りしていれば対象になります。

✅ 医療費控除の対象になる医療費

以下のようなものが対象です。

✅ 対象例

  • 病院や診療所の診療費

  • 医師の処方による薬代

  • 歯科治療費(美容目的はNG)

  • 入院費

  • 通院のための公共交通機関の交通費

  • 介護保険の特定のサービス費用

✅ 対象外例

  • 美容整形

  • 健康診断や人間ドック(病気が見つかって治療につながれば対象になる場合も)

  • 自家用車のガソリン代や駐車場代

 

✅ 医療費控除の計算式

実際に控除できる金額は、以下の式で求めます。

(年間の医療費支出 - 保険金などの補填分 - 10万円)= 控除額

※総所得金額が200万円未満の場合は「10万円」ではなく「所得の5%」を引きます。
※控除額の上限は200万円です。

💡 具体例

例1:総所得300万円の人

  • 年間医療費:40万円

  • 保険金補填:5万円

控除額 = 40万円 - 5万円 - 10万円 = 25万円

例2:総所得150万円の人

  • 年間医療費:25万円

  • 保険金補填:なし

控除の基準額は「所得の5%=7.5万円」

控除額 = 25万円 - 0円 - 7.5万円 = 17.5万円

✅ 保険金などで補填される金額とは?

医療費からは「実質負担分」を計算します。以下は引かれる例です。

  • 生命保険の入院給付金

  • 公的健康保険の高額療養費

  • 出産育児一時金

つまり、保険などで戻ったお金は医療費から差し引いて計算します。

✅ 医療費控除を受けるには?申告方法

1️⃣ 医療費の領収書を保管
2️⃣ 医療費控除の明細書を作成

  • 国税庁サイトで「医療費集計フォーム」が便利
    3️⃣ 確定申告書に記入し提出

  • e-Tax(ネット申告)も対応

✅ 令和5年分からは、領収書の提出は不要ですが、5年間保存義務があります。

✅ セルフメディケーション税制との違い

医療費控除は「年間10万円超え」が基本ですが、もう一つの制度もあります。

制度名 対象 控除の条件
医療費控除 家族全員の医療費合計が10万円超 医療費全般が対象
セルフメディケーション税制 OTC医薬品購入額が1.2万円超 特定成分の市販薬購入が対象

✅ どちらか一方しか選べません。

✅ まとめ

**医療費控除(いりょうひこうじょ)**は、

本人や家族の医療費が多かったときに、確定申告をすると所得税・住民税が軽くなる制度です。

✅ 1年間の支払医療費から保険金と10万円(または所得の5%)を引いた分を控除
✅ 家族全員分を合算OK
✅ 領収書を保管し、明細書を作成して申告

医療費がかさんだ年は、ぜひ忘れずに申告して、税負担を軽減しましょう。

さらに参照してください:

医療保険比較(いりょうほけんひかく)とは?失敗しない選び方をわかりやすく解説