単独海損(たんどくかいそん)とは、航海中の事故(座礁・火災・衝突など)によって船舶や積み荷が損害を受けた際、その損害や費用を特定の関係者が単独で負担することをいいます。
英語では Particular Average と呼ばれ、海上保険の重要な概念のひとつです。
単独海損の具体例
例えば、貨物船が航海中に嵐で一部のコンテナが損傷した場合、その損害が特定の荷主の貨物にだけ発生したとします。
この場合、その荷主が自分の貨物の損害を単独で負担するのが「単独海損」です。
保険に加入していれば、この損害を保険金でカバーできる可能性があります。
共同海損との違い
単独海損とよく比較されるのが**共同海損(general average)**です。
共同海損は、船や貨物を守るためにやむを得ず行った措置(例:積み荷を一部海に投棄して船を軽くする)によって発生した損害や費用を、船主とすべての荷主が公平に分担する仕組みです。
項目 | 単独海損 | 共同海損 |
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負担者 | 損害を受けた特定の船主や荷主 | 船主と全ての荷主が共同負担 |
事故の性質 | 個別の損害 | 船舶全体の安全を守るための措置 |
例 | 荷主Aの貨物だけが破損 | 船を救うため積み荷の一部を投棄 |
単独海損が発生する主なケース
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船舶の一部が火災で損傷
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特定の荷主の貨物だけが衝突事故で破損
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座礁により特定の貨物が海水に浸水して損害
保険との関係
海上保険では、単独海損による損害も補償の対象となることがあります。
ただし、契約内容や約款によって範囲が異なるため、加入時に**「単独海損が補償対象かどうか」**を確認することが大切です。
まとめ
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単独海損=個別の損害を特定の当事者が単独負担する
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対義語は共同海損=船全体の安全のための損害を共同負担
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海上保険に加入していれば補償されるケースもある
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契約時は補償範囲を必ず確認することが重要
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