会社員や公務員として働く多くの人が加入している「厚生年金」。
でも、「どんな仕組み?」「いくらもらえるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、厚生年金の基本から受給額の目安、計算方法まで、専門用語をできるだけ使わずにやさしく解説します。
厚生年金とは?基本の仕組み
厚生年金(厚生年金保険)は、会社などに勤務する人が加入する公的年金制度です。
日本の年金制度は「2階建て構造」となっており、1階部分が「国民年金(基礎年金)」、2階部分が「厚生年金」です。
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1階:国民年金(基礎年金) … 20歳以上60歳未満のすべての人が加入
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2階:厚生年金 … 会社員や公務員などが加入
このように、厚生年金に加入している人は、国民年金にも自動的に加入している形になります。
国民年金との違い
国民年金は、自営業者やフリーランスなど個人で働く人が中心に加入する制度です。
一方、厚生年金は雇用されて働く人が対象です。
また、保険料の仕組みも異なります。
国民年金は一律の保険料(2025年度時点で月額16,000円台)ですが、厚生年金は給与額に応じて保険料が変動します。
そのため、賃金が高いほど、将来受け取る年金額も多くなるのが特徴です。
年金の「3階建て構造」を理解しよう
年金制度はしばしば「建物」に例えられます。
| 階層 | 内容 | 加入者 |
|---|---|---|
| 1階 | 国民年金(基礎年金) | 全国民 |
| 2階 | 厚生年金 | 会社員・公務員など |
| 3階 | 企業年金・iDeCoなど | 任意加入 |
このうち1階と2階を合わせて「公的年金」と呼びます。
つまり、会社員は国民年金と厚生年金の2階建ての年金を受け取ることができます。
厚生年金の保険料と負担の仕組み
厚生年金の保険料は、会社と従業員で折半します。
たとえば、月の保険料が40,000円なら、会社が20,000円・本人が20,000円を負担します。
国民年金部分の保険料はこの中に含まれており、別途納める必要はありません。
厚生年金はいくらもらえる?受給額の目安
厚生年金は原則として65歳から生涯にわたって支給されます。
受給額は「報酬(給与)」と「加入期間」によって決まります。
厚生労働省の令和3年度データでは、
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国民年金:月額 約56,000円
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厚生年金:月額 約146,000円
とされており、厚生年金の受給者は国民年金のみの方に比べて、約2.5倍の年金を受け取っていることになります。
厚生年金の受給額シミュレーション(早見表)
| 年収 | 加入期間 | 年間受給額(老齢厚生年金+老齢基礎年金) | 月額目安 |
|---|---|---|---|
| 700万円 | 40年 | 約231万円 | 約19.2万円 |
| 500万円 | 40年 | 約188万円 | 約15.6万円 |
| 300万円 | 40年 | 約144万円 | 約12万円 |
| 500万円 | 30年 | 約140万円 | 約11.6万円 |
| 300万円 | 20年 | 約72万円 | 約6万円 |
※上記は概算の目安です。実際の金額は加入期間・標準報酬額・配偶者の有無などによって変動します。
加入条件と対象者
原則として、常時雇用されている従業員(正社員・契約社員など)が対象です。
また、パートやアルバイトでも以下の条件を満たせば加入できます。
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週の労働時間が20時間以上
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月額賃金が88,000円以上
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勤務期間が2か月を超える見込み
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学生でないこと
社会保険の適用範囲は、法改正により段階的に拡大しています。
まとめ:厚生年金は「安心な老後」を支える大切な制度
厚生年金は、老後の生活を支える柱のひとつです。
給与に応じた保険料と受給額の仕組みにより、働く期間が長いほど安定した年金が得られます。
将来に向けて、今のうちから加入状況や見込み受給額を確認しておくことが大切です。
「自分がいくらもらえるのか」を定期的に把握しておくことで、老後資金の計画も立てやすくなります。
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