企業会計や経営管理の場面でよく耳にする「原価基準」という言葉。
会計初心者にとっては少し難しく感じるかもしれませんが、実は企業の経営判断や財務管理に欠かせない基準です。
本記事では、原価基準の基本から実務での使い方まで、わかりやすく解説します。
1. 原価基準とは?
原価基準とは、費用性資産の評価を取得原価(購入したときの費用)で計算する基準のことです。簡単に言えば、「この資産は買ったときにかかったコストで価値を計算します」というルールです。
企業は利益計算や財務管理のために、資産の価値を正確に評価する必要があります。ここで原価基準が用いられることで、企業の財務諸表の信頼性を高め、秩序ある管理が可能になります。
2. 原価基準が使われる資産の種類
原価基準は特に以下の資産で利用されます。
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棚卸資産:商品や製品、原材料など、販売や製造に使う資産
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償却資産:建物や機械など、時間の経過とともに価値が減少する資産(取得原価から減価償却費を差し引いて評価)
 
たとえば、機械を1,000万円で購入した場合、減価償却を行うことで経過年数に応じた原価を財務諸表に計上できます。これにより、企業は正確な資産価値と費用計算が可能になります。
3. 原価基準の歴史と現状
原価基準は1960年代に大蔵省企業会計審議会によって定められました。当時は製造業を中心に、企業の原価計算や財務管理の秩序を保つ目的で活用されていました。
しかし、近年ではサービス業の拡大や多様なビジネスモデルの登場により、従来の原価基準が必ずしも現代のニーズに合わないという指摘があります。実際、過去30年間ほとんど改定されておらず、見直しの議論が続いているのが現状です。
4. 原価基準のメリットと注意点
メリット
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資産評価がシンプルでわかりやすい
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財務諸表の信頼性が高まる
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原価管理や収益管理に活用しやすい
 
注意点
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物価変動や時価を反映しにくい
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サービス業や無形資産では適用が難しい場合がある
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改定されていないため、現代のビジネス環境では制約がある
 
5. 実務での原価基準の活用例
例1:製造業の場合
製造業の企業では、原材料や完成品の棚卸資産を原価基準で評価します。これにより、売上原価や利益計算が正確に行えます。
例2:建設業や設備投資
建設機械や設備を購入した場合、取得原価に基づいて減価償却を計算。財務諸表に反映させることで、投資判断や経営分析に役立ちます。
まとめ
原価基準は、企業会計の基礎となる重要な評価基準です。
取得原価に基づくシンプルな計算方法で、財務管理や原価管理の秩序を保つ役割を果たします。しかし、近年ではサービス業や無形資産の増加により、改定の必要性も指摘されています。
企業の経営者や会計担当者は、原価基準のメリット・デメリットを理解した上で、適切に活用することが求められます。
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