受取手形とは

受取手形とは?仕訳・勘定科目・売掛金との違いをわかりやすく解説

企業間取引において、現金の代わりに利用される決済手段のひとつが「手形」です。中でも、将来の入金を約束する「受取手形」は、売上債権として企業の資金繰りに重要な役割を果たします。
この記事では、受取手形の基礎知識から、仕訳方法・売掛金との違い・決済や裏書譲渡の処理方法までを、会計初心者にもわかりやすく解説します。

🔹 受取手形とは?基本の仕組み

受取手形とは、企業が商品やサービスを販売した際、取引先から将来の支払いを約束された「手形」を受け取ることです。
約束された支払期日に、手形の額面金額を銀行で現金として受け取ることができます。

▷ 手形の種類

手形には主に次の2種類があります。

種類 特徴 関係者
約束手形 振出人が受取人に対して支払いを約束する 振出人=支払人
為替手形 振出人が第三者(支払人)に支払いを依頼する 振出人・支払人・受取人の3者

👉 受け取る側(企業)は、どちらの手形も「受取手形」勘定科目で処理します。

🔹 受取手形と売掛金の違い

項目 受取手形 売掛金
信用力 銀行の関与があり信用力が高い 相手先との直接契約の信用による
現金化 手形割引により期日前でも現金化可能 原則として支払期日まで待つ
第三者の関与 あり(銀行など) なし
不渡りリスク あり あり

🔸 まとめると:
受取手形は、銀行を介して発行されるため信用度が高く、早期現金化も可能な点がメリットです。
一方で、売掛金はよりシンプルな取引形態ですが、信用力や回収リスクに注意が必要です。

🔹 受取手形の仕訳方法【ケース別解説】

① 売上を手形で受け取った場合

例:商品売上50万円分を約束手形として受け取った

借方 金額 貸方 金額
受取手形 500,000 売上 500,000

👉 約束手形でも為替手形でも、同じく「受取手形」で処理します。

② 受取手形を期日に決済した場合

例:約束手形50万円を銀行で入金処理した

借方 金額 貸方 金額
当座預金 500,000 受取手形 500,000

👉 支払期日に問題なく決済されれば、資産の振替仕訳を行います。

③ 受取手形を裏書譲渡した場合

例:約束手形50万円をB社に譲渡し、買掛金と相殺した

借方 金額 貸方 金額
買掛金 500,000 受取手形 500,000

👉 手形を他社に譲渡する際は、「裏書譲渡」により債権を移転します。
ただし、支払保証の義務が残る点には注意が必要です。

④ 手形割引を利用した場合

例:受取手形50万円を銀行で割引、割引料2万円

借方 金額 貸方 金額
当座預金 480,000 受取手形 500,000
手形売却損 20,000

👉 銀行に手数料(割引料)を支払うことで、期日前に現金化できます。

🔹 受取手形の注意点と資金繰りへの活用

受取手形は、資金繰りの調整に役立つ一方で、不渡りリスクを伴います。
相手先の信用調査を怠ると、回収不能となるリスクも。
また、2026年度末には「約束手形の廃止」が予定されており、電子取引(でんさい)への移行が進んでいます。

👉 詳しくは「約束手形の廃止スケジュールと代替手段【でんさい解説】」をご覧ください(参考:経済産業省発表資料)。

🔹 まとめ:受取手形の理解が経営を強くする

ポイント 内容
受取手形とは 将来の支払いを約束する手形を受け取ったもの
売掛金との違い 銀行が関与し信用度が高い
会計処理 「受取手形」勘定で仕訳
活用方法 裏書譲渡・手形割引で資金繰り改善も可能

さらに参照してください:

売上原価とは?計算方法から業種別の考え方・製造原価との違いまで徹底解説