企業が株式や出資金を保有していると、他の会社から配当金を受け取ることがあります。
このときに受け取るお金を「受取配当金(うけとりはいとうきん)」といいます。
この記事では、
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受取配当金の基本的な意味
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会計上の処理方法
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税務上の取扱い(益金不算入)
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仕訳例
を、初心者にもわかりやすく解説します。
🔹受取配当金とは
受取配当金とは、企業が保有している他の法人の株式や出資金に対して支払われる利益の分配金のことです。
たとえば、A社がB社の株式を持っている場合、B社が配当を実施すれば、A社はその一部を「受取配当金」として受け取ります。
この中には、
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株式の中間配当や期末配当
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投資信託からの収益分配金
なども含まれます。
🔹会計上の処理:営業外収益として計上
受取配当金は、会社の本業とは直接関係のない収益のため、
損益計算書では「営業外収益」として処理します。
また、配当金の金額は通常、株主総会での決議日に確定します。
したがって、受取配当金は「決議日」に計上するのが原則です。
📘 仕訳例(会計処理)
B社から10万円の配当金を受け取った場合:
ただし、実際に入金されるのは、所得税等が源泉徴収された後の金額です。
このため、仕訳では以下のように処理する場合もあります:
🔹税務上の取扱い:「益金不算入」で二重課税を防ぐ
法人税の計算上、受取配当金には益金不算入制度が適用されます。
これは、「配当金を出す側(B社)」で既に法人税を支払っているため、
「受け取る側(A社)」で再度課税すると二重課税になるのを防ぐための制度です。
ただし、益金不算入の割合は、
配当を行う会社との持株割合によって異なります。
持株割合 | 益金不算入割合(目安) |
---|---|
100%(完全子会社) | 100%不算入 |
1/3超 | 50%不算入 |
1/3以下 | 20%不算入(または0%) |
※詳細は「法人税法第23条」および「法人税基本通達」に基づく。
🔹金融商品会計と税務処理の違い
会計上は「予想配当額」をもとに収益を見積もって計上できる場合がありますが、
税務上では実際に株主総会で決定された日に確定した配当額で処理します。
このため、会計と税務のタイミングがずれることがあります。
🔹受取配当金に含まれるもの
受取配当金の中には、以下のようなものも含まれます。
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株式・出資金に対する利益配当
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投資信託の収益分配金
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保険契約に基づく配当金
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みなし配当金(資本の払い戻しなどが該当)
🔹まとめ:受取配当金のポイント
項目 | 内容 |
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意味 | 他の法人の株式・出資に対して受け取る配当金 |
計上時期 | 株主総会で配当が決議された日 |
会計処理 | 営業外収益として計上 |
税務処理 | 益金不算入により二重課税を防止 |
注意点 | 会計と税務で処理時期や取扱いが異なる場合がある |
さらに参照してください: