企業の決算書を見ると、「営業利益」や「営業損失」といった言葉を目にすることがあります。
中でも「営業損失」とは、会社の本業で赤字が出ている状態を指す重要な指標です。
この記事では、営業損失の意味から、発生原因、改善のための考え方まで、会計初心者にもわかりやすく解説します。
💡 営業損失とは?基本の意味を理解しよう
営業損失とは、企業の本業に関わる収益よりも費用のほうが多くなり、営業活動で損失が発生している状態を指します。
損益計算書(P/L)では、以下のような計算式で算出されます。
営業損益 = 売上総利益 − 販売費及び一般管理費
この金額がマイナスになった場合が「営業損失」です。
例えば、売上総利益が1,000万円、販売費および一般管理費が1,200万円の場合、
差額の−200万円が営業損失となります。
📉 営業損失が発生する主な原因
営業損失が出てしまう原因はさまざまですが、大きく分けると以下の3つに分類できます。
① 売上の減少
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主力商品の売れ行き不振
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顧客離れや競合他社の台頭
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市場全体の需要低下 など
売上が減ると、当然ながら収益が下がり、営業損失につながりやすくなります。
② 販売費・一般管理費の増加
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広告宣伝費の増加
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人件費や家賃などの固定費上昇
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物流コストの上昇 など
売上が横ばいでも、経費が増えれば営業損失となります。
③ 一時的な要因
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新規事業への先行投資
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商品入れ替えや店舗改装による費用
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一時的な景気悪化や自然災害の影響
一時的な赤字であっても、将来的な収益向上を狙った投資であれば必ずしも悪いとは言えません。
📊 営業損失の分析方法
営業損失が発生した際は、単年度だけで判断するのは危険です。
数年分の損益計算書を比較し、以下のような視点で分析することが重要です。
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売上総利益率(粗利率)の推移
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販売費・一般管理費の増減
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営業外損益(本業以外の損益)とのバランス
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キャッシュフロー(現金収支)の動き
特に「キャッシュフロー計算書」を見ると、営業損失でも現金が増えているケースがあります。
たとえば減価償却費のような非現金支出が多い場合、営業活動によるキャッシュフローがプラスとなることもあります。
💪 営業損失を改善するには?
営業損失が続くと企業体力が削られます。改善のためには、次のような対策が有効です。
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売上の回復策
新商品開発、顧客層の拡大、販売チャネルの見直しなど。 -
コスト削減
固定費の見直しや外注コストの削減。 -
利益率の改善
高付加価値商品へのシフト、仕入れコストの圧縮など。 -
経営計画の再構築
短期的な赤字を許容するか、早期黒字化を目指すかを明確化。
🔍 まとめ:営業損失は「危険信号」だが、必ずしも悪ではない
営業損失は、企業の本業の採算が取れていないことを示す重要なサインです。
ただし、その原因が一時的な投資や戦略的なものなら、将来的に黒字転換の可能性もあります。
重要なのは、損失の背景を正しく分析し、次の一手を考えることです。
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