日本に住むすべての人が医療を受けられる仕組みを「国民皆保険制度」といいます。その中でも「国民健康保険(略称:国保)」は、主に会社員などの健康保険に加入していない人が利用する医療保険制度です。
この記事では、国民健康保険の仕組み・加入対象・自己負担割合・保険料のポイントを、初心者にもわかりやすく解説します。
国民健康保険の基本概要
国民健康保険とは、日本の公的医療保険制度の一つであり、市区町村が運営しています。
「会社の健康保険(社会保険)」に加入していない人を対象にしており、病気やケガのときに医療費の一部を公費で負担してもらえる仕組みです。
国民健康保険に加入する主な人
次のような人が国民健康保険の対象となります。
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会社勤めをしていない個人事業主・フリーランス
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退職して健康保険を喪失した人
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学生や無職の人
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パート・アルバイトで勤務先の社会保険に入っていない人
なお、退職後は「国民健康保険」に加入するか、「健康保険の任意継続」を選ぶかを選択できます。
任意継続とは、退職後も最大2年間、元の健康保険を継続できる制度のことです。
国民健康保険に加入できない人
以下の4つに該当する人は、国民健康保険には加入できません。
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会社などの勤務先で健康保険に加入している人とその被扶養者
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国民健康保険組合に加入している人とその家族
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後期高齢者医療制度の対象者(75歳以上)
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生活保護を受けている人
このように、国民健康保険は「ほかの医療保険制度の対象外の人」が加入する制度です。
国民健康保険の運営主体と加入義務
国民健康保険は各市区町村が運営主体となっており、住民登録のある自治体で加入手続きを行います。
そのため、対象となる人は本人の意思に関係なく加入が義務とされています。
これにより、日本では「すべての人が何らかの医療保険に入っている状態」が確保されており、これが国民皆保険制度の根幹を支えています。
医療費の自己負担割合
国民健康保険に加入している場合、病院での医療費の自己負担割合は年齢によって異なります。
年齢区分 | 自己負担割合 |
---|---|
3歳未満 | 2割 |
3歳以上~69歳 | 3割 |
70歳以上 | 原則1割(所得により2割・3割になる場合あり) |
たとえば、1万円の医療費がかかった場合、一般的な現役世代では3,000円の支払いで済み、残りの7,000円は保険から支払われます。
国民健康保険料(税)について
国民健康保険では、加入者が国民健康保険料(または保険税)を納めます。
呼び方が「保険料」と「保険税」で異なるのは、自治体によって条例上の名称が違うためです。
保険料の計算方法
保険料(税)は、世帯ごとに計算され、主に以下の3つの要素で構成されます。
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所得割(前年の所得に応じて決まる)
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均等割(加入者1人あたりにかかる)
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平等割(1世帯あたりにかかる)
自治体によって算出方法や上限額が異なるため、詳細はお住まいの市区町村のホームページなどで確認しましょう。
国民健康保険料の控除(節税ポイント)
国民健康保険の保険料(または保険税)を支払った場合、その支払額は所得税の「社会保険料控除」の対象となります。
確定申告や年末調整で申告すれば、所得税・住民税の負担を軽減できます。
国民健康保険に関する具体的な例
例えば、会社を退職したAさん(40歳)が無職になった場合、社会保険の資格を喪失したため、住民票のある市区町村で国民健康保険への加入手続きを行います。
その後、病院で診療を受ける際には医療費の3割を自己負担し、残りは国保が負担する仕組みです。
また、Aさんが支払った保険料は、翌年の確定申告で社会保険料控除として申告できます。
まとめ
国民健康保険とは、会社の健康保険に加入していない人のための公的医療保険制度です。
退職後や独立したときにも安心して医療を受けられる仕組みであり、日本の「国民皆保険制度」を支える重要な制度といえます。
保険料の金額や軽減措置は市区町村によって異なるため、加入や納付の際は、必ず自治体の担当窓口や公式サイトで確認しましょう。
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