在職老齢年金とは

在職老齢年金とは?働きながら受け取る年金制度の仕組みと注意点をやさしく解説

「60歳を過ぎても働き続けると、年金はどうなるの?」
そんな疑問を抱く方にとって知っておきたいのが、「**在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん)」です。

これは、働きながら老齢厚生年金を受け取る制度ですが、収入によっては年金額が減額・停止されることもあります。

この記事では、「在職老齢年金」の仕組みや計算方法、注意点をわかりやすくご紹介します。

✅ 在職老齢年金とは?

在職老齢年金とは、厚生年金に加入したまま働いている60歳以上の人が受け取る老齢厚生年金のことを指します。

しかしこの年金は、「給与や賞与などの報酬が多い」と年金額の一部または全部が支給停止になる可能性があるのです。

「働きながら年金がもらえる」とは限らない——ここが在職老齢年金の大きなポイントです。

🧮 支給停止の仕組みと計算方法

在職老齢年金の支給額は、以下の2つの合計金額に応じて調整されます。

  • 年金額(老齢厚生年金の報酬比例部分)

  • 月収換算の給与+賞与(=総報酬月額相当額

▶ 支給停止の基準(月額換算)

年齢 支給停止の基準額
60~64歳 28万円を超えると一部または全額停止
65歳以上 47万円を超えると一部停止

※2025年現在の基準(今後変更の可能性あり)

💡 具体的なシミュレーション例

たとえば、60歳のAさんが以下のような条件だったとします:

  • 老齢厚生年金月額:12万円

  • 総報酬月額相当額:20万円

この場合、合計=12万円+20万円=32万円となり、28万円を超えています。
したがって、超過分(32万円−28万円=4万円)の半額=2万円が支給停止され、年金受給額は12万円−2万円=10万円となります。

💬 加給年金がある場合の扱い

60歳台前半に年金を受け取る際、「加給年金」が加算されることがありますが、在職老齢年金の支給調整を行う際には加給年金分は除外して計算されます。

加給年金は、配偶者や子どもなど家族構成によって加算される年金です。

👥 誰が厚生年金に加入し続けるのか?

年金を受け取っているかどうかに関係なく、厚生年金保険の適用事業所に勤務している70歳未満の方は、引き続き厚生年金に加入する義務があります。

つまり、

  • 60歳で老齢厚生年金を受け取りながら

  • 同時に会社勤めもしている

という方は、年金をもらいながらも保険料の納付義務がある点に注意が必要です。

✔️ 在職老齢年金のメリット・デメリット

メリット デメリット
働きながらでも一定の年金を受け取れる 報酬額によって年金が減る・停止される
保険料の支払いにより将来的な年金額の増加も期待できる 年金と収入のバランスに注意が必要
再雇用やパートでも条件を満たせば対象になる 制度が複雑でわかりづらい点が多い

📝 まとめ|働きながらの年金受給には「収入額」に注意!

在職老齢年金は、60歳以降も働き続ける人にとっての重要な制度ですが、「働けば働くほど年金が減る」仕組みでもあります。

特に60~64歳の方は28万円の壁、65歳以上でも47万円の壁があるため、就労収入とのバランスを考えながら老後設計をすることが大切です。

まずは、ご自身の年金見込額と働き方を照らし合わせ、在職老齢年金の影響をシミュレーションしてみましょう。

さらに参照してください:

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