企業の収益力や経営効率を測る代表的な指標のひとつが 売上高当期純利益率 です。財務分析を行う際、投資家や経営者にとって欠かせない数値であり、会社の稼ぐ力を端的に示してくれます。
この記事では、
-
売上高当期純利益率の基本的な意味
-
計算式と求め方
-
平均値や目安
-
低い場合の改善方法
-
マイナスになるケースの解釈
について、会計の専門家としてわかりやすく解説します。
売上高当期純利益率とは?
売上高当期純利益率 とは、企業の売上高に対して最終的に残った「当期純利益」の割合を示す指標です。
-
当期純利益 … 損益計算書における最終利益で、税金や特別損失なども反映された額。
-
売上高当期純利益率 … 「売上に対してどの程度の利益が残ったか」を示す。
つまり、同じ売上高でも純利益率が高ければ「効率的に稼げている」ことを意味します。
売上高当期純利益率の計算式
計算式は次のとおりです。
例:
売上高 10億円、当期純利益 5,000万円の場合、
となり、売上高当期純利益率は 5% です。
売上高当期純利益率でわかること
① 企業の収益力
売上高に対して最終的に残る利益の割合を表すため、会社全体の「稼ぐ力」を確認できます。
② 経営効率
資源(人材・設備・資本)をどれだけ有効に活用して利益を生み出しているかがわかります。
売上高当期純利益率の平均と目安
業種によって大きく差があります。
経済産業省「企業活動基本調査(2022年度実績)」によると、全体の平均は 5.28% です。
業種 | 売上高当期純利益率 |
---|---|
製造業 | 6.75% |
電気・ガス業 | 1.04% |
情報通信業 | 7.42% |
卸売業 | 4.68% |
小売業 | 1.94% |
飲食サービス業 | 2.71% |
このように、製造業や情報通信業は比較的高く、小売・飲食業は低い傾向があります。
売上高当期純利益率が低い場合の改善方法
純利益率が低い場合、以下の改善策が考えられます。
1. リピート率を高める
固定客を増やし、安定した売上を確保する。
-
会員制度やポイントカードの導入
-
消耗品のリピート購入促進
2. 仕入コストを見直す
原材料や仕入ルートを改善し、利益率を上げる。
-
大量発注による単価引き下げ
-
仕入ルートの再構築
3. 広告宣伝の最適化
費用対効果の高い広告に絞り込み、コスト削減と売上増を両立。
4. 営業力の強化
提案力や顧客管理を改善し、売上を増加させる。
5. 生産性の向上
業務効率化やシステム導入でコストを削減。
売上高当期純利益率がマイナスの場合
当期純利益がマイナス、つまり 赤字 の状態です。
ただし、一時的な特別損失(例:災害損失や大規模投資)による赤字の場合は、必ずしも経営が悪化しているとは限りません。複数年度で比較することが重要です。
まとめ:売上高当期純利益率で企業の稼ぐ力を確認しよう
売上高当期純利益率は、企業の 収益力 と 経営効率 を一目で把握できる重要な指標です。
-
計算式:当期純利益 ÷ 売上高 × 100
-
平均値の目安:約5%前後(業種差あり)
-
改善策:売上増・コスト削減・生産性向上
投資判断や経営改善のためには、同業他社や過去の数値と比較することがポイントです。
さらに参照してください: