企業の収益力や経営効率を把握するために重要な指標の一つが「売上高当期純利益率」です。
経理担当者や経営者にとって、日々の経営判断や分析に欠かせない指標ですが、初心者には少しわかりにくい面もあります。
この記事では、売上高当期純利益率の意味、計算方法、業種別の平均値、改善のポイントまで丁寧に解説します。
売上高当期純利益率とは
売上高当期純利益率とは、企業が一定期間に得た売上高に対して、最終的にどれだけの利益(当期純利益)を確保できたかを示す割合です。
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当期純利益には、営業活動以外の特別利益や特別損失も含まれるため、事業年度によって変動することがあります。指標を見る際は、損益計算書の各科目や前期との比較が重要です。
売上高当期純利益率の計算方法
売上高当期純利益率は、以下の計算式で求められます。
当期純利益の計算式
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当期純利益は、売上高から原価や営業費用を差し引き、営業外損益や特別損益を加減して求めます。
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法人税等調整額は、税効果会計を適用した場合の将来の法人税増減を表します。
売上高当期純利益率でわかること
1. 企業の収益力
企業がどれだけ稼ぐ力を持っているかを示します。売上高当期純利益率が高ければ、同業他社に比べて稼ぐ力が高いと判断できます。
2. 経営効率
経営資源(人材・資本など)を効率的に活用して利益を生み出せているかを示します。高い指標は、無駄なく経営資源を運用できている証拠です。
売上高当期純利益率の平均と目安
経済産業省「企業活動基本調査(2022年度実績)」によると、全体の平均は 5.28% です。業種によって大きく異なることがわかります。
| 業種 | 売上高当期純利益率 |
|---|---|
| 製造業 | 6.75% |
| 電気・ガス業 | 1.04% |
| 情報通信業 | 7.42% |
| 卸売業 | 4.68% |
| 小売業 | 1.94% |
| クレジットカード業 | 6.87% |
| 飲食サービス業 | 2.71% |
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売上高当期純利益率が低い場合の改善方法
売上高当期純利益率が低い場合は、企業の経営効率を改善する余地があります。主な改善策は以下の通りです。
1. リピート率を高める
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固定客を増やすことで売上を安定させ、利益率向上につなげます。
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具体策:
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会員制度やポイントカードを導入
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限定商品や割引を提供
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紹介制度でクーポンを発行
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2. 仕入れの見直し
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コスト削減により当期純利益を増加させます。
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具体策:
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大量発注で仕入単価を下げる
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原材料や仕入ルートを変更
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支払条件を現金にして値引きを交渉
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3. 広告宣伝の最適化
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効果的な広告に絞りコストを削減
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4. 営業力の強化
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営業戦略の共有やスキル向上で売上拡大
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部門間で情報共有やマーケティング連携を強化
5. 生産性の向上
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無駄なプロセスを削減し、限られた人材で高い成果を上げる
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作業の標準化やシステム導入、作業マニュアル整備などが有効
売上高当期純利益率がマイナスになる場合
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当期純利益が赤字の場合、指標はマイナスになります。
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特別損失が原因で一時的にマイナスとなることもあり、この場合は必ずしも経営状態の悪化を意味しません。
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前期・前々期との比較や損益計算書の詳細分析が重要です。
まとめ
売上高当期純利益率は、企業の収益力や経営効率を確認するための重要な指標です。同業他社や過去の数期と比較することで、経営の強みや改善点を見つけることができます。
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売上高当期純利益率の計算式を理解し、定期的に確認する
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業種平均や目安を参考に、自社の経営効率を評価
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改善ポイント(リピート率、仕入、広告、営業力、生産性)を具体的に実行
この指標を活用すれば、より効率的で利益の出る経営判断が可能になります。
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