売上高総利益率とは

売上高総利益率とは?意味・計算式・目安・改善ポイントをわかりやすく解説!

企業の「稼ぐ力」を測るうえで重要な指標の一つが 売上高総利益率(粗利益率) です。
この指標を正しく理解すれば、自社の収益構造を把握し、利益改善のヒントを得ることができます。

🔍 売上高総利益率(粗利益率)とは?

売上高総利益率(うりあげだかそうりえきりつ) とは、売上高に対してどれだけの「粗利益(売上総利益)」が得られているかを示す割合のことです。
別名で「粗利率」とも呼ばれます。

💡 計算式:

売上高総利益率=売上高総利益÷売上高×100(%)売上高総利益率 = 売上高総利益 ÷ 売上高 × 100(%)

たとえば、売上高が1,000万円で、売上総利益が300万円なら…

売上高総利益率 = 300万円 ÷ 1,000万円 × 100 = 30%

となります。
つまり、売上1,000円あたり300円の粗利益を得ているということです。

📈 売上高総利益率が示すもの

この指標は、「商品やサービスがどれだけ効率的に利益を生み出しているか」を示す重要な数値です。

  • 高い場合:原価をうまく抑えられており、販売戦略やブランド力が強い。

  • 低い場合:仕入れコストの上昇や価格競争で利益が圧迫されている可能性がある。

また、売上高総利益率は 景気や業界の動向 にも左右されます。
景気が良いときには需要が高まり、価格設定を強気にできるため利益率が上がりやすく、
不況時には値下げ競争が起こり、利益率が下がる傾向があります。

🏭 業界別の平均目安

売上高総利益率の「良し悪し」は、業界によって大きく異なります。
一概に高ければ良いとは言えません。以下は目安の一例です。

業界 平均売上高総利益率
製造業 約20〜40%
小売業 約20〜50%
飲食業 約60〜70%(ただし経費も多い)
建設業 約15〜25%
卸売業 約2〜10%

たとえば、卸売業では利益率は低いものの、商品回転率が高いため、結果的に利益を確保している企業も多いです。

🔧 売上高総利益率を改善するには?

売上高総利益率を上げるためには、次のような取り組みが有効です。

1️⃣ 原価の見直し

  • 仕入れ先の再交渉

  • 生産プロセスの効率化

  • 廃棄ロスの削減

2️⃣ 販売価格の見直し

  • 価格競争に巻き込まれず、付加価値の高い商品やサービス を提供する

  • ブランド力を高め、値下げに頼らない戦略を取る

3️⃣ 商品構成の改善

  • 利益率の高い商品を主力に

  • 不採算品目の整理

4️⃣ 販売効率の向上

  • 回転率を上げることで、低い利益率でも全体の利益を拡大する

  • ECサイトやデジタルマーケティングを活用し、販売チャネルを拡大する

 

📊 売上高総利益率を見るときの注意点

  • 単年度だけで判断しないこと:景気や一時的なコスト要因で変動するため、過去数年の推移を見ましょう。

  • 他社比較の際は業界基準に合わせること:異業種間では構造が違うため、単純比較は危険です。

  • 営業利益率や経常利益率との併用分析:総利益だけでなく、販売管理費などを加味して総合的に判断することが大切です。

 

💬 まとめ

ポイント 内容
売上高総利益率とは 売上に対する粗利益の割合を示す指標
計算式 売上高総利益 ÷ 売上高 × 100
高い場合 原価管理・価格戦略が上手くいっている
低い場合 コスト高や競争激化の可能性
改善策 原価・価格・商品構成・販売効率の見直し

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