定性評価(ていせいひょうか)とは、投資信託や資産運用会社を評価するときに、数字だけでは測れない要素を中心に評価する方法です。
過去の運用成績(定量評価)だけに頼らず、意思決定のプロセス・運用体制・投資哲学・リスク管理の姿勢などを重視します。
定性評価が重視される理由
投資信託の選び方というと、「過去の運用成績が良いものを選ぶ」というイメージを持つ方が多いでしょう。
しかし、過去の成績が将来も続くとは限らないのが投資の世界です。
例えば…
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一時的に好成績だったが、偶然や一過性の市場環境によるものだった
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運用責任者が交代し、投資方針が大きく変わった
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リスク管理が甘く、相場急変時に対応できない
こうした背景は数字だけでは見抜けません。そこで、運用の中身やチーム体制をチェックする定性評価が重要になるのです。
定性評価の主な項目
定性評価では、以下のようなポイントがよく見られます。
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投資哲学
長期的視点なのか、短期的利益重視なのかなど、運用の基本方針。 -
運用プロセス
銘柄選定から売買判断までの一連の流れが論理的かつ一貫しているか。 -
運用チーム体制
経験豊富なメンバーが揃っているか、役割分担や意思決定のスピードは適切か。 -
リスク管理体制
市場の急変や不測の事態への対応策が整っているか。 -
ガバナンス(運営管理)
利益相反や不正を防ぐためのチェック機能があるか。
具体例
例えば、A社とB社という2つの運用会社があったとします。
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A社:過去3年間の運用成績は平均的だが、チームは10年以上の経験を持つメンバーで構成され、明確な投資哲学と厳格なリスク管理を実施している。
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B社:過去3年間の成績は非常に良いが、運用責任者が最近交代し、投資方針も変化している。
この場合、将来の安定性や信頼性を重視するなら、定性評価ではA社の方が高評価になる可能性があります。
定性評価と定量評価の違い
投資評価では、定性評価と定量評価の両方が使われます。
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定量評価:運用成績やリスク指標など、数値化できるデータをもとに評価
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定性評価:投資哲学や運用体制など、数値化しにくい要素をもとに評価
投資信託を選ぶときは、この2つをバランス良くチェックすることが重要です。
まとめ
定性評価は、「なぜその成績が出せているのか」「将来も安定した運用ができるのか」を見極めるための評価方法です。
過去の数字だけでは見えない運用の本質を知ることで、より信頼できる運用機関や投資信託を選ぶことができます。
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