「定時決定(ていじけってい)」とは、厚生年金保険や健康保険の保険料を計算する基礎となる「標準報酬月額」を、毎年1回見直す手続きのことです。
事業主が提出する算定基礎届をもとに、厚生労働大臣(実際の事務は年金事務所など)が標準報酬月額を決定します。
これにより、実際の給与額と標準報酬月額との間に大きな差が出ないように調整します。
なぜ定時決定が必要なのか?
保険料は「標準報酬月額」に応じて計算されます。
もし標準報酬月額が実際の給与額とかけ離れていると、保険料が多すぎたり少なすぎたりする可能性があります。
定時決定を行うことで、
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被保険者(従業員)が実際の給与に見合った保険料を負担できる
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将来の年金や給付額が正確に計算できる
といったメリットがあります。
手続きの流れ
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算定基礎届の作成
事業主は、毎年4月〜6月に支払った給与(残業代や各種手当を含む)をもとに報酬月額を算出します。 -
提出期限
原則として7月10日までに、日本年金機構へ提出します。 -
標準報酬月額の決定
提出された情報をもとに、8月から翌年7月まで適用される標準報酬月額が決まります。 -
新しい保険料の適用
9月分の給与(10月支払い分)から新しい保険料額が反映されます。
具体例
例えば、4〜6月の平均月給が以下のような従業員がいるとします。
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基本給:28万円
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残業代:平均2万円
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手当:平均1万円
合計月額は31万円です。これをもとに標準報酬月額(例:32万円の等級)が決まり、保険料が算定されます。
定時決定と随時改定の違い
よく似た手続きに「随時改定(月額変更)」があります。
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定時決定:毎年1回(7月)に、4〜6月の給与で見直す
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随時改定:昇給・降給などで報酬が大きく変わったときに随時見直す
定時決定は年1回の定期的な見直し、随時改定は必要に応じた臨時の見直しです。
まとめ
定時決定は、厚生年金や健康保険の保険料を公平かつ適正にするための重要な手続きです。
事業主は期限内に算定基礎届を提出し、従業員は新しい標準報酬月額を把握しておくことが大切です。
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