寄付金は、個人や法人が組織や団体に無償で提供する金銭や資産のことです。
しかし、名目は「寄付金」となっていても、実際には経理上「寄付金」として扱えない場合があります。法人・個人事業主が寄付を行った際の仕訳や税務上のポイントを理解して、正しく処理することが重要です。
寄付金の基本
寄付金とは、個人や法人が非営利組織や公共団体などに対して無償で提供する金銭・資産のことを指します。
法律上は「寄附金」と表記されることもありますが、意味は同じです。
寄付と似た概念に「贈与」がありますが、贈与は契約が必要で個人同士や法人から個人への譲渡が対象です。
寄付は契約なしで、組織や団体への支援を目的としています。
寄付金の分類
寄付金は支払先によって分類され、法人税・所得税上の取り扱いが異なります。
1. 国や地方公共団体への寄付金(指定寄付金)
国や地方公共団体、または財務大臣指定の団体への寄付は全額損金算入が可能です。個人事業主の場合は、特定寄付金として所得控除が適用されます。
2. 特定公益増進法人などへの特定寄付金
公益社団法人、認定NPO法人、特定公益信託への寄付は「特定寄付金」として扱われ、損金算入できる額は法人の資本金・所得に応じて制限されます。個人事業主も所得控除や税額控除の対象です。
3. その他の寄付金
上記以外の寄付金は一般寄付金として扱われます。法人は損金算入に制限があります。個人は政治活動に関する寄付金のみ控除対象です。
寄付金の仕訳例
基本的な仕訳
公益法人に100万円を寄付した場合:
広告宣伝費として仕訳
イベント協賛などで社名や商品を宣伝できる場合は、広告宣伝費として処理します:
接待交際費として仕訳
取引先主催のイベントへの協賛金は、寄付ではなく交際費として処理します:
寄付金の課税関係
寄付金は対価を伴わないため、消費税は非課税です。ただし、購入した物品を寄付する場合は、購入代金が課税仕入れとなります。法人税上は寄付金の種類により損金算入の上限が設定されており、低廉譲渡の場合は注意が必要です。
個人事業主の場合の寄付金
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受け取った場合:個人からの寄付は贈与税の対象。法人からの寄付は一時所得として課税。
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支払った場合:特定寄付金は所得控除の対象。政党や認定NPOへの寄付は税額控除も可能です。
法人・個人での寄付金処理のポイント
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寄付先に応じて分類を確認
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損金算入や所得控除の限度を確認
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名目だけで判断せず、実態に応じた勘定科目で仕訳
まとめ
寄付金は、単に「支出した金額」ではなく、税務上の扱いや仕訳方法によって法人・個人で処理が異なります。正しい勘定科目の選択と限度額の把握が、税務リスクを避けるポイントです。
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