保険を途中で解約すると「解約返戻金(かいやくへんれいきん)」が戻ってくる仕組みは、多くの方がご存じかもしれません。
しかし、その金額が契約どおりではないこともある、という点は意外と知られていません。その裏にあるのが「市場価格調整(MVA)」という仕組みです。
この記事では、市場価格調整の意味や仕組みをわかりやすく解説します。
これから保険に加入する方や、すでに加入している保険を見直す方にとっても役立つ内容になっています。
🔍 市場価格調整とは?
**市場価格調整(しじょうかかくちょうせい)**とは、保険契約を途中で解約したときに受け取る「解約返戻金」の額を、市場の金利変動に応じて調整する仕組みです。
英語では「Market Value Adjustment(MVA)」とも呼ばれています。
この調整が適用されることで、契約当初に想定していた運用利回りと、実際の市場金利との差に応じて、解約返戻金が増減します。
💡 具体的な仕組み:金利が上がるとどうなる?
市場価格調整の基本的な考え方はこうです:
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解約時の市場金利が契約時よりも高くなっている ➡ 解約返戻金は減額
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解約時の市場金利が契約時よりも低くなっている ➡ 解約返戻金は増額
✅ 具体例でイメージ
たとえば、5年前に年利1.0%の運用を前提とした保険に加入したとします。
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いま解約すると、市場金利が2.0%に上がっていた場合:
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保険会社は1.0%の利回りで運用している資産を、今の高金利市場では不利な価格で売却することになります。
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そのため、解約返戻金は減額されることに。
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一方、市場金利が0.5%に下がっていた場合:
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保険会社が持っている資産は「高利回り」で価値が高く見なされます。
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結果的に、解約返戻金は増額される可能性があります。
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📝 なぜ市場価格調整があるのか?
この仕組みがあるのは、保険会社の資産運用の公平性を保つためです。
保険会社は契約者から集めた保険料をもとに、長期間の運用計画を立てています。
契約期間途中で解約されると、予定より早く資産を処分しなければならず、損失が出る場合があります。
その損失分を調整するのが「市場価格調整」なのです。
⚠️ MVAが適用される保険は限られている
すべての保険に市場価格調整があるわけではありません。主に貯蓄型の保険商品、特に以下のような契約において適用されます。
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積立型の終身保険
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個人年金保険
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外貨建て保険
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一時払い型の養老保険 など
加入時に**「MVAあり」「市場価格調整あり」と明記されている**保険商品が対象になります。
🧭 保険加入時の注意ポイント
市場価格調整がある保険に加入する際には、以下の点に注意しましょう:
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長期契約前提の商品であることを理解する
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解約時期によって返戻金が大きく変わる可能性がある
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資金を途中で引き出す可能性がある場合は、他の選択肢も検討する
✅ まとめ:MVAを正しく理解して保険を活用しよう
市場価格調整(MVA)は、解約時の金利変動によって返戻金が変動する重要な仕組みです。
長期的に保険を活用する前提で設計された制度であるため、加入前にしっかりと理解しておくことが大切です。
「思ったより返戻金が少ない!」と後悔しないためにも、契約時の説明をよく読み、不明点があれば必ず担当者に確認しましょう。
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