年末調整は、給与所得者にとって1年間の所得税を正確に精算するための大切な手続きです。
会社が従業員の給与や賞与から源泉徴収した税額を再計算し、過不足を調整します。
特に2025年(令和7年)からは控除や所得要件の改正が行われ、多くの従業員に影響があります。
この記事では、初心者でも理解できるように年末調整の基本から、必要書類や書き方まで詳しく解説します。
年末調整とは?
年末調整とは、会社が従業員に支払った給与や賞与から1年間で源泉徴収した所得税額と、本来納めるべき所得税額を照合し、差額を調整する手続きです。
原則として、給与所得者は全員対象ですが、給与が2,000万円を超える場合は対象外となり、個人で確定申告が必要になります。
年末調整と確定申告の違い
| 年末調整 | 確定申告 | |
|---|---|---|
| 手続きを行う主体 | 会社 | 個人 |
| 対象者 | 給与所得者 | 個人事業主、年金受給者、副業がある会社員など |
| 納付期限 | 翌年1月10日 | 翌年2月16日〜3月15日 |
| 申告できる控除 | 基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除など | 年末調整の控除に加え、医療費控除、寄付金控除など |
年末調整は会社が主体となり、給与所得者の所得税を簡便に精算する仕組みです。確定申告は、自分で所得や控除を計算して申告する手続きになります。
2025年(令和7年)年末調整の主な変更点
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基礎控除の見直し
所得に応じて基礎控除額が増額。低・中所得層の税負担が軽減されます。 -
給与所得控除の引き上げ
最低保障額が55万円→65万円に引き上げ。給与収入190万円以下の方は注意。 -
特定親族特別控除の創設
19歳〜23歳未満の特定親族(子など)がいる場合、最大63万円の控除が受けられます。 -
扶養親族等の所得要件改正
扶養控除対象の所得条件が48万円→58万円以下に引き上げ。配偶者特別控除の対象範囲も拡大。
これらの改正により、従来103万円の壁が123万円の壁に変更され、大学生の子どもを持つ家庭などで税負担が軽減されます。
年末調整で必要な書類一覧(2025年版)
年末調整では、主に以下の書類の提出が必要です。
全員が提出する書類
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給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(マル扶)
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給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書(マル基・配・特・所)
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給与所得者の保険料控除申告書(マル保)
対象者のみ提出する書類
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住宅ローン控除用の住宅借入金等特別控除申告書
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生命保険料控除証明書
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地震保険料控除証明書
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個人型確定拠出年金掛金証明
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国民年金・国民年金基金の掛金証明
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配偶者特別控除に必要な収入証明書など
控除を受けるためには、自ら申告書を提出する必要があります。医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除(初回)は年末調整ではなく、確定申告で申請します。
年末調整書類の書き方のポイント
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扶養控除等(異動)申告書
自分の情報と扶養親族の情報を正確に記入します。
16歳以上の扶養親族は控除対象になります。 -
源泉控除対象配偶者
配偶者控除を受ける場合、所得や給与収入の条件を満たしているか確認。
条件を満たさない場合は空欄にし、配偶者の有無欄だけ記入します。 -
保険料控除申告書
支払った保険料を証明する書類に基づき記入。
家族の保険料を従業員が支払った場合も、控除対象になることがあります。
年末調整の注意点
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控除対象の扶養親族や配偶者の情報は最新にする
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住宅ローン控除の「調書方式」により、証明書添付が不要に
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年収200〜850万円の給与所得者は還付が発生する可能性あり
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Web化により書類提出や計算が簡単になり、進捗管理も容易
まとめ
年末調整は、従業員の所得税を正確に精算し、過不足を調整する大切な手続きです。2025年(令和7年)からの変更点として、控除額の増加や特定親族特別控除の創設があり、従業員の税負担を軽減する効果があります。
必要書類を正確に準備し、書き方を理解しておくことで、業務の効率化だけでなく、従業員への適切な税額精算が可能になります。
初心者でも迷わず対応できるよう、早めに書類を確認し、提出期限までに準備しておきましょう。
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