公務員や私立学校の教職員として働く人にとって重要なのが「年金共済(ねんきんきょうさい)」です。
一般的な会社員が加入する厚生年金とは仕組みが異なるため、違いを理解しておくことは老後の生活設計に欠かせません。
この記事では、年金共済の基本・対象者・厚生年金との違い・制度の変遷や注意点をわかりやすく解説します。
年金共済とは?
年金共済(ねんきんきょうさい)とは、
常勤の国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員などが加入する被用者年金制度のひとつです。
かつては「共済年金」と呼ばれ、厚生年金とは別の制度として運用されていましたが、現在では制度改正により厚生年金に統合されています。
年金共済の対象者
年金共済の加入対象は、主に以下の職業です。
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国家公務員(各省庁や独立行政法人に勤務する職員)
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地方公務員(都道府県や市町村の職員)
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私立学校の教職員(私学共済に加入)
これらの人々は、民間企業の会社員が加入する厚生年金ではなく、共済組合を通じて年金に加入していました。
厚生年金との違い
かつての「年金共済」と「厚生年金」には、次のような違いがありました。
項目 | 厚生年金 | 年金共済 |
---|---|---|
対象者 | 民間企業の会社員・公務員以外の被用者 | 公務員・私立学校教職員 |
管理主体 | 日本年金機構 | 各共済組合 |
退職時の給付 | 老齢厚生年金 | 老齢共済年金(+職域加算あり) |
特に大きな違いは「職域加算」です。
これは共済組合独自の上乗せ給付で、公務員や教職員が定年後に厚生年金よりも多めの年金を受け取れる仕組みでした。
制度の変遷(厚生年金への統合)
平成27年(2015年)の制度改正により、共済年金は厚生年金に一元化されました。
この背景には「公務員と会社員で老後の年金額に格差がある」という社会的な批判がありました。
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2015年10月以降 → 共済年金は厚生年金に統合
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職域加算 → 廃止され、新しい「年金払い退職給付」に移行
つまり現在は「年金共済」という制度名は残っていても、実態は厚生年金の一部として扱われています。
年金共済に関する注意点
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過去の加入分は有効
統合前に共済年金に加入していた期間は、厚生年金に引き継がれて計算されます。 -
職域加算は廃止済み
新規加入者には適用されず、すでに受給資格を持つ人のみが対象。 -
年金額の確認方法
元公務員や私学教職員の場合でも、現在は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認可能です。
具体例でイメージ
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公務員として35年勤務したAさん
以前は共済年金+職域加算を受けられたが、制度改正後は厚生年金に統合。ただし過去の加算部分は引き継がれて年金額に反映。 -
私立高校の教員として20年勤務したBさん
加入先は「私学共済」だが、現在は厚生年金と同じ仕組みで年金が計算される。
まとめ
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年金共済とは、公務員や私立学校の教職員が加入していた年金制度
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かつては厚生年金と別制度で、職域加算という上乗せがあった
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2015年10月から厚生年金に統合され、格差は解消された
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過去の加入期間は有効に引き継がれ、現在は「ねんきんネット」などで確認可能
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