延滞税とは

延滞税とは?計算方法・税率・発生条件をわかりやすく解説

税金の納付が遅れたときに課される「延滞税(えんたいぜい)」。
「支払いが遅れたらどのくらい取られるの?」「いつから発生するの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、国税通則法に基づく延滞税の仕組み・計算方法・注意点を、会計・税務の専門家の視点からわかりやすく解説します。

🔹 延滞税とは?基本の仕組みを簡単に

延滞税とは、税金を法定納期限までに納付しなかった場合に課される附帯税(ペナルティ)です。
法律上は「国税通則法第60条〜63条」に定められています。

つまり、期限までに納めるべき税金を遅れて払うと、遅れた日数に応じて“利息のような税金”が上乗せされるという仕組みです。

延滞税は、あくまで本税(もとの税金)に対してのみ課されるもので、加算税や過怠税などにはかかりません。

🔹 延滞税が発生する主なケース

延滞税は、以下のような場合に課されます。

発生のタイミング 具体的なケース
✅ 納付期限を過ぎた場合 例:確定申告の所得税を3月15日までに納めなかった
✅ 期限後申告をした場合 例:申告が遅れ、納付も後日になった
✅ 修正申告や更正・決定を受けた場合 例:税務調査などで不足分の納付が発生した

つまり、税額が確定したにもかかわらず、期限までに納付していない場合は、原則として延滞税がかかります。

🔹 延滞税の計算方法【基本式】

延滞税の金額は、未納税額 × 日数 × 税率(年率)で求められます。

ただし、延滞税率は日数によって2段階に分かれています。

期間 適用税率 計算式
納期限の翌日から1か月以内 特例基準割合 + 1% 延滞税(前半)=未納額 × 税率 × 日数 ÷ 365
納期限の翌日から1か月を超える期間 特例基準割合 + 7.3% 延滞税(後半)=未納額 × 税率 × 日数 ÷ 365

👉 1円未満の端数は切り捨てます。

💡 例:延滞税の簡単な計算例

  • 未納税額:100,000円

  • 納期限から20日遅れた場合

  • 特例基準割合が1.5%だったと仮定

計算式:
100,000円 ×(1.5%+1%)×20日÷365=約109円

わずかな金額でも、日数が延びるとどんどん増えていきます。

🔹 延滞税率の最新情報(2025年)

延滞税の税率は、毎年見直される「特例基準割合」によって変動します。
2025年(令和7年)分の特例基準割合は国税庁により公表されています。

🔸 令和7年(2025年)の延滞税率(国税庁発表)

  • 納期限の翌日から1か月以内:年2.5%

  • それ以降:年8.8%

※年度により若干の変動があります。最新情報は国税庁の公式ページ「延滞税の割合」を確認しましょう。

🔹 延滞税を少なくするための対策

延滞税は「納付の遅れ日数」に比例して増えていくため、早めの行動が何よりも大切です。

✅ 対策ポイント

  1. 納付期限を必ずカレンダーに登録
     確定申告(所得税)は3月15日、法人税は事業年度終了後2か月以内が目安です。

  2. 納付が難しいときは「納税猶予制度」を検討
     災害・病気・資金繰りなどやむを得ない事情がある場合、延滞税が軽減または免除されることもあります。

  3. 修正申告が必要なときは早めに提出
     税務調査で指摘を受ける前に自主的に修正申告を行うと、延滞税や加算税の負担を減らせることがあります。

 

🔹 よくある質問(FAQ)

Q1. 延滞税は住民税や固定資産税にもかかりますか?

→ はい。延滞税と同様の考え方で、「延滞金」という形で地方税にも課されます。

Q2. 延滞税を支払わないとどうなりますか?

→ 期限を過ぎても納付しない場合、督促状が送られ、最終的には**差押え(強制徴収)**に至る可能性があります。

Q3. 延滞税は経費にできますか?

→ 延滞税は損金算入不可(経費にできない)とされています。法人税法上、罰金的性格のある支出は損金になりません。

🔹 まとめ:延滞税は“支払い遅延のペナルティ”。期限内納付が最善の防止策!

項目 内容
延滞税の根拠法 国税通則法第60~63条
課される対象 本税(未納税額)のみ
計算方法 未納額 × 税率 × 日数 ÷ 365
税率 1か月以内:特例基準割合+1%、以降:+7.3%
対策 早期納付・納税猶予の利用

税金の支払い遅れは、うっかりミスでも延滞税が発生します。
期日管理を徹底し、必要に応じて税理士や会計専門家に早めに相談することが安心です。

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