交通事故などでケガをしたあと、治療を受けたにもかかわらず、体に何らかの障害が残ってしまうことがあります。
これを「後遺障害(こういしょうがい)」といいます。
言葉としては「後遺症」と似ていますが、保険や損害賠償の世界では 明確な違い があります。
本記事では、
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後遺障害の定義
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後遺症との違い
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等級認定と損害賠償
などについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
✅ 後遺障害とは?
「後遺障害」とは、事故や病気の 治療後も回復せずに残ってしまった障害 を意味します。
特に交通事故などでよく使われる言葉です。
たとえば、以下のような状態が「後遺障害」とされる可能性があります:
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手足のしびれや麻痺
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視力や聴力の低下
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関節の可動域が狭まる
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精神障害(高次脳機能障害 など)
ただし、単に症状が残っただけでは「後遺障害」とは認められません。
✅ 後遺障害と後遺症の違い
🔹 後遺症:
日常会話や医療分野では、治療後に残るすべての症状を「後遺症」と呼ぶことが多いです。
例:骨折後に腕が完全に伸びなくなった、頭痛が続く など。
🔹 後遺障害:
「後遺症」のうち、損害賠償の対象となる 一定の条件を満たしたものを指します。
保険や法律の世界では、「後遺障害」が重視され、
労働能力の喪失や生活への重大な影響があると判断されれば、等級認定 を受けることができます。
✅ 等級認定とは?後遺障害の評価方法
後遺障害が損害賠償の対象となるかどうかは、専門機関による「等級認定」によって決まります。
▶ 認定機関:
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自賠責保険の場合:損害保険料率算出機構の調査事務所
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任意保険の場合:保険会社やその委託業者
▶ 等級の種類:
後遺障害は 1級から14級 に分類され、1級がもっとも重度です。
たとえば:
等級 | 主な内容 |
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1級 | 寝たきり状態など、常に介護が必要 |
7級 | 一眼の失明や片耳の全難聴など |
14級 | 軽度のしびれや違和感が残る程度 |
等級によって、受け取れる慰謝料や逸失利益の金額も大きく変わります。
✅ 後遺障害が認定されるとどうなる?
後遺障害として認定されると、以下のような 損害賠償 を請求できる可能性があります:
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後遺障害慰謝料:精神的苦痛に対する補償
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逸失利益:働けなくなったことによる収入の損失補填
たとえば、14級の認定でも数十万円の慰謝料が支払われるケースがあります。
重度な障害(1~5級)であれば、数千万円単位の賠償が発生することもあります。
✅ 実際のシチュエーション:交通事故での後遺障害例
事例:
30代男性がバイクで転倒し、右手首を骨折。半年の治療後も可動域が大きく制限されたため、14級の後遺障害と認定。
➡ 医師の診断書と画像診断(MRIなど)をもとに申請
➡ 約100万円の後遺障害慰謝料と逸失利益を受け取ることができた
🔍 まとめ:後遺障害は「損害賠償の対象」となる重要な概念
用語 | 意味 |
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後遺症 | 症状が残っている状態(医学的表現) |
後遺障害 | 法的に認定される障害で、賠償対象となる |
後遺障害は、症状が「固定」された後でも回復が見込めず、生活や仕事に支障がある場合に該当します。
その際には、専門家に相談し、等級認定を受けることが大切です。
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