心身障害者扶養共済制度とは

心身障害者扶養共済制度とは?障がいのある子を支える安心の備えを解説

障がいのあるお子さんや家族の将来について、不安を抱えている保護者の方は少なくありません。
「自分にもしものことがあったら、この子はどうなるのだろう…」そんな想いに寄り添う制度が、**「心身障害者扶養共済制度(しんしんしょうがいしゃ ふようきょうさいせいど)」**です。

本記事では、この制度の仕組みや特徴、加入条件、注意点までをわかりやすく解説します。

✅ 心身障害者扶養共済制度とは?

心身障害者扶養共済制度とは、障がいのある方(=扶養されている方)の将来を経済的に支えるための公的な共済制度です。

具体的には、保護者が生存中に毎月一定額の掛金を納め、保護者が死亡または重度障害となった場合に、障がいのある方に対して終身で年金が支給されるという仕組みです。

✅ 制度の仕組みを簡単に説明すると…

保護者が元気な間 毎月、一定額の掛金を納める
保護者に万一があったとき 障がいのある扶養者に「終身年金」が支給される

この制度は、都道府県が運営する共済制度で、全国的に展開されています。保険会社が運営する保険商品とは異なり、公的な支援制度の一つです。

✅ どんな人が対象になるの?

● 加入できる保護者(契約者)

以下の条件を満たす方が加入できます。

  • 心身に障がいのある方を現に扶養している

  • 加入時に65歳未満である

  • 所定の健康状態を満たしている(一定の健康診断あり)

● 支給対象となる方(年金受給者)

  • 障がいのある子どもや家族(都道府県によって対象基準に差あり)

  • 身体障害者手帳、療育手帳などの交付を受けていることが条件となる場合が多い

 

✅ 支給される年金額は?

この制度では、加入口数に応じて月額の年金が支給されます。
一般的には、1口加入で月額20,000円程度の年金が終身支給されるケースが多いです。

たとえば:

  • 1口加入 → 月2万円の年金

  • 2口加入 → 月4万円の年金 …というように、掛け口数を増やすことで年金額も増えます。

※ 掛金や年金額は自治体ごとに異なる場合があるため、お住まいの都道府県の制度案内を必ずご確認ください。

✅ 掛金はいくらかかるの?

掛金は保護者の加入時の年齢に応じて決まり、年齢が若いほど安くなります。

たとえばある自治体では:

加入時の年齢 月額掛金(1口)
30歳未満 約9,000円
40歳 約11,000円
59歳 約15,000円

※ これはあくまで一例です。実際の金額は自治体の公式サイト等でご確認ください。

✅ 加入・支給の例でイメージ

📌 例:45歳の母親が障がいのある息子のために加入

  • 加入時:45歳、月額掛金11,500円、1口契約

  • 息子:重度の知的障がいがあり、特別支援学校に通学中

  • 加入から10年後、母親が病気で亡くなる
    → 息子に対し、毎月2万円の年金が終身で支給されることに

「親亡き後」に備える仕組みとして、多くの保護者にとって精神的・経済的な支えとなっています。

✅ 制度利用の際の注意点

  • 健康状態によっては加入できない場合がある(事前の告知が必要)

  • 加入後に途中解約はできない(保険と異なり返戻金なし)

  • 年金は、扶養者が受給できる状態になったときから支給される(例:保護者の死亡や重度障害)

 

✅ 制度の申込方法は?

申込先は、お住まいの都道府県の福祉課・障害福祉窓口などです。
以下のような名称で案内されていることがあります。

  • 「心身障害者扶養共済制度」

  • 「障がい者扶養共済」

  • 「親なきあと共済制度」 など

 

まとめ|親の安心が、障がいのある子の未来を守る

心身障害者扶養共済制度は、「親なきあと」の不安を少しでも軽減するために設けられた大切な制度です。

民間保険とは異なり、自治体が運営する公的制度のため、費用負担が比較的軽く、終身年金が得られる点が大きな魅力です。

将来の安心を形にするためにも、一度ご自身の自治体での制度内容を確認し、検討してみてはいかがでしょうか。

さらに参照してください:

「親族」とは?民法上の定義と保険での重要ポイントをやさしく解説