保険の世界には、いざというときのための制度がいくつか用意されています。そのひとつが「指定代理請求人(していだいりせいきゅうにん)」という制度です。
「もし本人が保険金の請求ができない状態になったら?」
そんな“万が一”に備えるための仕組みとして注目されるこの制度について、この記事では仕組み・手続き方法・注意点を含めて、初心者にもやさしく解説していきます。
✅ 指定代理請求人とは?基本の意味と仕組み
**指定代理請求人(していだいりせいきゅうにん)**とは、被保険者本人がケガや病気で意識がない・話せないなど、意思表示が困難な場合に、代わりに保険金を請求できる人のことです。
たとえば、次のようなケースで活躍します:
◆ 実際のシチュエーション例
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脳梗塞で意識が戻らず、本人が保険会社に請求できない
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大きな交通事故で入院中の本人に代わって、家族が請求したい
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精神疾患などで意思確認が取れず、手続きを進められない
このような状況でも、事前に「指定代理請求人」が登録されていれば、スムーズに保険金の手続きが可能になります。
✅ 「指定代理請求特約」の役割とは?
「指定代理請求人」は、あらかじめ保険契約時に『指定代理請求特約』を付加することで有効になる仕組みです。
◆ 特約の内容と特徴
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契約者が被保険者の同意を得て、代理人を登録
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契約後でも、被保険者の同意があれば指定・変更可能
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代理人が保険金や給付金の請求を代行できる
💡 特約の付加は任意ですが、万が一のために多くの契約者が付けている重要な特約の一つです。
✅ 指定代理請求人になれるのは誰?
保険会社ごとに若干の違いはありますが、通常は**被保険者の近親者(家族)**が指定されます。
◆ 指定できる主な人物
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配偶者(夫・妻)
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父母・子・兄弟姉妹
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法定後見人 など
※第三者や遠縁の親戚を指定したい場合は、保険会社の事前承認が必要になることがあります。
✅ 指定代理請求人の手続き方法
実際に「指定代理請求人」を設定する際の流れは以下の通りです:
◆ 手続きの流れ
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保険契約時に「指定代理請求特約」を付加
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被保険者の同意書と署名を取得
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指定代理請求人の氏名・続柄などを保険会社に届け出
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契約成立後も、被保険者の同意があれば代理人の変更可能
📝 ポイント:被保険者の意思確認が必須なので、勝手に代理人を指定することはできません。
✅ 注意点と誤解しやすいポイント
● 保険金の「受取人」とは別物
指定代理請求人は**あくまで「請求を代行する人」**であり、保険金の「受取人」とは別です。
● 同意書の取得が必要
「意思表示が困難な状況」と認められた場合でも、原則として事前に本人の同意を得ていないと無効となることがあります。
● 特約を付けていないと請求できないことも
この制度は**「指定代理請求特約」があることが前提**です。特約をつけていない場合、家族であっても請求できない可能性があります。
✅ まとめ|「指定代理請求人」で万が一の備えを
「指定代理請求人」は、本人が請求できない状態でも、確実に保険金を受け取るための大切な仕組みです。
とくに、高齢の方や持病のある方にとっては、家族によるスムーズなサポートが可能になる大きな安心材料となります。
保険加入時や見直しの際には、この特約がついているか、誰が代理人として指定されているかをしっかり確認しておきましょう。
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