年金制度にはさまざまな加算制度がありますが、その中でも知っておきたいのが「振替加算(ふりかえかさん)」です。
特に配偶者の年金額に関わるため、老後の生活設計に大きく影響します。
この記事では、振替加算の仕組みや対象者、加給年金との違いをわかりやすく解説します。
振替加算とは?
振替加算とは、配偶者が65歳になったときに老齢基礎年金に上乗せされる加算額のことです。
もともと、厚生年金に加入している人には「加給年金額」という配偶者向けの加算があります。しかし、配偶者自身が65歳になると老齢基礎年金を受けられるため、その加給年金額は打ち切られます。
👉 そこで、その代わりとして配偶者の老齢基礎年金に加えられるのが振替加算です。
振替加算が導入された背景
国民年金に加入していなかった期間(任意加入制度が導入される前など)がある人や、加入期間が短い人は、本来もらえる老齢基礎年金が少額になってしまいます。
そこで、老後の生活を一定程度保障するために設けられたのが振替加算です。特に、専業主婦(かつては国民年金の任意加入対象であった人)への配慮として位置づけられています。
振替加算の対象者
振替加算が行われる条件は次のとおりです。
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夫婦ともに大正15年(1926年)4月2日以降生まれであること
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配偶者の加給年金額が打ち切られたときに、その配偶者が老齢基礎年金を受け取る資格を持っていること
振替加算の金額と生年月日による違い
振替加算の額は一律ではなく、配偶者の生年月日に応じて段階的に減額(逓減)されています。
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昭和41年(1966年)4月1日以前生まれの人 → 加算あり
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昭和41年4月2日以降生まれの人 → 振替加算はゼロ
つまり、今後の世代では振替加算は廃止されていく方向にあります。
加給年金との違い
混同されやすいのが「加給年金」と「振替加算」です。
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加給年金:厚生年金に一定期間以上加入していた本人に加算される配偶者向けの手当(本人の年金に加算される)
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振替加算:配偶者が65歳になったときに、その配偶者自身の老齢基礎年金に加算される手当
👉 ポイントは、誰の年金に加算されるかが違うという点です。
まとめ
振替加算は、加給年金が終了したあとに配偶者の老齢基礎年金へと引き継がれる加算制度です。
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夫婦ともに大正15年(1926年)4月2日以降生まれが対象
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生年月日に応じて加算額が減額され、昭和41年4月2日以降生まれからはゼロ
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「加給年金 → 振替加算」という流れで受給できる
現在では対象者が限定されつつありますが、老後の年金額を考える上で理解しておくことは大切です。
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