企業の会計処理や税務申告を行う際、「控除対象外消費税額等」という言葉に出会うことがあります。初心者には少し複雑に感じられるかもしれませんが、消費税の計算や経費処理、資産計上を正しく行うために重要な概念です。本記事では、控除対象外消費税額等の意味、発生する理由、区分や交際費との関係について、初心者にもわかりやすく解説します。
控除対象外消費税額等とは?
控除対象外消費税額等とは、会社が消費税を計算する際に、仕入れなどで支払った消費税のうち、控除できない部分を指します。
具体的には、課税売上高や課税売上割合によって、仮払消費税額の一部が控除できず、損金算入や資産計上の対象となる消費税です。
なぜ控除対象外消費税額等が発生するのか?
控除対象外消費税額等は、会社が税抜経理方式を採用している場合に発生します。計算の仕組みは以下の通りです。
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会社が仕入れや経費にかかった消費税を「仮払消費税」として計上
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売上にかかる消費税を「仮受消費税」として計上
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仮受消費税から仮払消費税を差し引き、納付すべき消費税額を計算
ここで、課税売上高が5億円を超える場合や課税売上割合が95%未満の場合は、仕入控除税額が課税売上割合に応じて制限されます。
その結果、控除できない仮払消費税が発生し、これが「控除対象外消費税額等」と呼ばれるものです。
なお、税込経理方式を採用している場合は、消費税額が資産の取得価額や経費に含まれるため、控除対象外消費税は発生しません。
控除対象外消費税額等の区分
控除対象外消費税額等は、資産に係るものと経費に係るものに分けて処理する必要があります。
資産に係る控除対象外消費税額等
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繰延消費税額等として資産計上し、原則として5年以上で償却
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ただし、以下の要件に該当する場合は損金処理が認められます
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課税売上割合が80%以上
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棚卸資産に係るもの
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上記1の資産にかかる控除対象外消費税額が20万円未満
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また、資産の取得価額に全額算入することも可能です
経費に係る控除対象外消費税額等
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原則として損金算入可能(交際費等を除く)
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交際費等に係る場合は、損金不算入額の計算を行う必要があります
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法人税申告書では「交際費等に係る控除対象外消費税の額」として別途加算計上するケースもあります
交際費との関係
控除対象外消費税額等は、通常の経費では損金算入できますが、交際費に関連するものは損金算入の制限がある点に注意が必要です。
法人税法上、交際費は一定の限度額を超えると損金算入できません。そのため、交際費にかかる控除対象外消費税も別途計算し、申告書で調整する必要があります。
まとめ
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控除対象外消費税額等とは:課税売上に応じて控除できない仮払消費税額のこと
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発生する理由:課税売上高の規模や課税売上割合による制限、税抜経理方式の影響
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処理方法:資産に係るものは繰延消費税額として計上、経費に係るものは損金算入(交際費を除く)
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交際費との注意点:交際費にかかる控除対象外消費税は損金不算入の調整が必要
控除対象外消費税額等の理解は、正確な消費税計算や税務申告、経費処理に不可欠です。特に課税売上割合や交際費の取り扱いを正しく把握し、税務リスクを回避することが重要です。
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