損害填補とは

損害填補とは?保険金の支払い方式と仕組みをわかりやすく解説

**損害填補(そんがいてんぽ)**とは、保険事故によって発生した損害に対し、保険会社が保険金を支払うことを指します。主に損害保険で使われる言葉で、契約者の損失を一定の条件で補う重要な仕組みです。

この記事では、損害填補の基本的な意味と、代表的な2つの支払い方式「実損填補」と「比例填補」について、具体例を交えてわかりやすく解説します。

損害填補の目的

損害填補は、保険契約者が被った経済的損失を補い、事故前の状態にできる限り近づけることを目的としています。
ただし、保険は**「利益を得るためのものではない」**という原則があり、損害額を超える保険金が支払われることはありません。

損害填補の代表的な方式

1. 実損填補(実損填補方式)

実損填補方式では、契約で定められた保険金額を上限として、実際に発生した損害額がそのまま保険金として支払われます。

  • 例1:損害額が10万円の場合
    保険金は10万円支払われます。

  • 例2:損害額が100万円の場合
    保険金は100万円支払われます(ただし契約の保険金額が100万円以上であることが条件)。

この方式は、火災保険や傷害保険など、実際の損害をできるだけ正確に補う必要がある保険で多く採用されています。

2. 比例填補(比例填補方式)

比例填補方式では、契約時に設定した保険金額が、対象資産の実際の価値に対してどの程度の割合かを基準に、保険金が支払われます。

  • 例:車両価格200万円の自動車に対して100万円の車両保険に加入
    → 補償割合は 50%
    → 自動車が100万円の損害を受けても、支払われる保険金は50万円のみ。

この方式は、家財保険や一部の企業向け保険などで用いられ、「保険金額=資産価値」になっていない場合、保険金が全額支払われないことが特徴です。

実損填補と比例填補の違いを簡単比較

項目 実損填補 比例填補
計算方法 損害額をそのまま補償(上限は契約金額) 損害額 × 補償割合
メリット 実際の損害を正確にカバー 保険料を抑えられる
デメリット 保険料が比較的高め 損害額が全額補償されない場合がある
主な利用例 火災保険、傷害保険 家財保険、企業向け保険

損害填補を理解する上での注意点

  • 保険金額の設定が低すぎると、比例填補方式では十分な補償が受けられない。

  • 実損填補方式でも、契約限度額を超える損害は補償されない。

  • 保険契約時は、資産価値や必要な補償額を正確に把握することが大切。

 

まとめ

損害填補は、損害保険において「どのように保険金を支払うか」を決める重要な仕組みです。
実損填補方式は損害額をそのまま補償、比例填補方式は契約割合に応じた補償となるため、契約時にはどちらの方式かをしっかり確認しましょう。

適切な保険金額を設定しておくことが、事故発生時に安心して補償を受けるためのポイントです。

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