損益分岐点とは、会社やお店が「どのくらい売れば利益が出るのか」を判断するための重要な指標です。
この考え方を理解しておくと、赤字を防ぎ、経営の安定につなげることができます。
この記事では、損益分岐点の意味から計算方法、エクセルでの分析手順までをわかりやすく解説します。
損益分岐点とは
損益分岐点とは、売上高と費用がちょうど同じになり、利益がゼロになる売上高のことを指します。
この点を超えると黒字、下回ると赤字になるため、経営の分かれ目とも言えます。
企業や店舗の経営状態を把握する上で欠かせない基礎的な分析指標です。
損益分岐点の計算式
損益分岐点売上高は次の式で求められます。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
変動費率は「変動費 ÷ 売上高」で算出します。
また、売上高から変動費を引いた「限界利益」という考え方も重要です。
限界利益は固定費をまかなうための原資であり、利益を生み出す力を示します。
具体例:ラーメン店の場合
ラーメン店を例にして考えてみましょう。
1杯あたりの売上:1,000円
1杯あたりの変動費:200円
固定費(月):30万円
この場合、変動費率は200 ÷ 1,000 = 0.2(20%)になります。
したがって、損益分岐点売上高は次の通りです。
30万円 ÷(1 − 0.2)= 37万5,000円
つまり、月に375杯以上販売すれば黒字になります。
エクセルで損益分岐点グラフを作る手順
エクセルを使えば、損益分岐点を視覚的に把握できます。
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売上高と費用のデータを作成する
売上を0円から100万円までの範囲で設定し、それに対応する費用(固定費+変動費)を計算します。 -
グラフを挿入する
データを選択し、「挿入」→「グラフ」→「折れ線グラフ」を選びます。 -
損益分岐点を確認する
売上線と費用線が交わる点が損益分岐点です。
ここを基準に、黒字ラインを明確に把握できます。
損益分岐点で分かること
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現在の売上が黒字ラインにどれだけ近いか
損益分岐点比率=損益分岐点売上高 ÷ 現在の売上高 × 100 -
売上がどの程度減ると赤字になるか
安全余裕率=(実際の売上高−損益分岐点売上高)÷実際の売上高 -
どの商品が最も利益を生みやすいか
限界利益率=限界利益 ÷ 売上 × 100 -
目標利益を達成するための売上高
目標利益達成売上高=(固定費+目標利益)÷限界利益率
経営判断への活用方法
損益分岐点は経営上のさまざまな判断に活用できます。
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採算の取れる販売価格の設定
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固定費や変動費の見直し
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目標売上の明確化
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収益構造の改善指針としての利用
これらを定期的に確認することで、利益を安定させる経営が可能になります。
CVP分析(損益分岐点分析)の基本
CVP分析とは、Cost(費用)、Volume(販売量)、Profit(利益)の関係を分析する方法です。
販売量の変化がどのように利益へ影響するかを確認できます。
手順は以下の通りです。
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固定費と変動費を算出する
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損益分岐点売上高を計算する
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CVP図表を作成する
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安全余裕率を求める
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改善策を検討する
損益分岐点を下げる3つの方法
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変動費を減らす(仕入れや外注費の見直し)
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固定費を抑える(家賃や人件費の最適化)
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売上単価を上げる(付加価値の高い商品を導入)
まとめ
損益分岐点の理解は、企業経営の基礎となる重要なスキルです。
売上、費用、利益の関係を数値で把握することで、経営上の判断がより正確になります。
まずは自社の費用構造を整理し、定期的に損益分岐点を確認していくことが、安定した経営への第一歩です。
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