企業の会計や財務の世界では、資産の評価方法として「時価基準」という考え方があります。
初心者の方にとっては少し難しい用語ですが、実務では株式や金融商品、さらには固定資産の評価において非常に重要な概念です。
この記事では、時価基準とは何か、取得原価主義との違い、そしてメリット・デメリットを具体例を交えてわかりやすく解説します。
時価基準とは
時価基準とは、決算時点での資産価値を市場価格に基づいて評価する会計手法のことです。
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「時価」とは、市場で取引される価格や公正価値を指します
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株式や債券など金融商品で特に重視される評価基準です
例:株式評価の場合
例えば、ある企業が保有する株式を取得原価主義で評価すると、購入時の価格で計上されます。しかし、株価が上がった場合、その価値の増加は決算書には反映されません。
一方、時価基準で評価すると、決算時点の株価で資産価値を計算するため、現状の資産価値をリアルタイムで反映できます。
取得原価主義との違い
取得原価主義(原価主義)では、資産は取得したときの費用で評価されます。
| 評価方法 | 特徴 | 主なメリット | 主なデメリット |
|---|---|---|---|
| 取得原価主義 | 資産を取得したときの価格で評価 | 安定した財務情報、損益の信頼性が高い | 市場価値の変動を反映できない |
| 時価基準 | 決算時点の市場価値で評価 | 資産の現状価値を正確に把握可能 | 未実現損益が計上され、利益が過大に見える場合がある |
取得原価主義は安定性が高く、財務諸表の信頼性に優れますが、市場価格の変動を反映できません。
対して、時価基準は市場価値を反映するため、投資家や経営者が資産の現状を把握しやすいというメリットがあります。
時価基準のメリット
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資産価値をリアルタイムで反映できる
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株式や債券の評価に最適
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経営者が財務状況を正確に把握可能
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投資家への情報提供に有効
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上場企業では決算書の透明性向上
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投資判断や企業比較がしやすくなる
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変動資産の価値を即座に反映できる
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金融商品の価格変動を会計上で把握可能
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時価基準のデメリット
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未実現利益が計上されるリスク
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株価上昇による含み益が利益として反映される
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実際に売却していない利益が配当や税金に影響する可能性
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財務の変動が大きくなる
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資産価値が市場の影響で大きく上下
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経営判断や安定性の評価が難しくなる場合がある
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固定資産の評価は慎重が必要
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売却時価や再調達価格を基準とすることが多い
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不動産や設備などは市場価値の変動を正確に反映しづらい
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まとめ
時価基準は、決算時点での市場価値を基に資産を評価する会計手法であり、取得原価主義とは対照的な考え方です。
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株式や債券など金融商品に有効
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資産価値のリアルタイム把握に役立つ
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一方で未実現利益の計上によるリスクも存在
企業の財務状況を正確に把握し、投資家や経営者に信頼性の高い情報を提供するためには、時価基準の特徴を理解したうえで活用することが重要です。
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