時価発行増資は、企業が新たに資金を調達したいときに使われる代表的な方法のひとつです。
市場で取引されている株価(時価)を基準にして新株を発行する増資で、上場企業を中心に広く利用されています。
この記事では、時価発行増資の仕組み、メリット、投資家への影響、実務上の注意点までわかりやすく解説します。
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時価発行増資とは?
時価発行増資とは、株式市場で形成されている株価(時価)に近い価格で新株を発行し、資金を調達する方法です。
通常の増資は「額面(発行価格)」が重視されることがありますが、時価発行は市場価格をベースにするため、より公平性が高いと言われています。
例
現在の株価:1,000円
時価発行の発行価格:950〜980円など、市場価格よりわずかに低い水準で設定されることが多い
この「時価に近い発行価格」が、既存株主にも投資家にも納得感のある仕組みになっています。
なぜ時価発行増資が選ばれるのか?
企業側のメリット
・株価が高ければ、少ない株式数で多額の資金を調達できる
・市場環境と連動しやすいため、公平性を保ちやすい
・多くの投資家から資金を集めやすい
特に株価が堅調な企業は、時価発行増資を選ぶことで資金効率が高まりやすくなります。
投資家側のメリット
・市場価格より少し低い価格で購入できることが多い
・発行条件が市場価格に連動しており、透明性が高い
そのため、バブル崩壊後に一時停滞した時価発行増資も、現在は再び活発になっています。
発行価格はどうやって決まる?
時価発行増資の発行価格は、株価の動きを踏まえて決められます。
一般的には「市場価格よりやや割安」に設定されますが、これは投資家が購入しやすくするための配慮です。
割引率の決定方法
・直近の株価推移
・投資家の需要動向
・市場全体の環境(ボラティリティ等)
・過去の増資事例
企業は公募によって投資家を募集するため、条件は公平性を保つ必要があります。
株主への説明責任と意思決定
時価発行増資は便利な調達方法ですが、既存株主の持分が希薄化するため、慎重な判断が求められます。
特に、株主以外に著しく有利な発行条件となる場合には
・株主総会での特別決議
・丁寧な説明や情報開示
が必要になります。
企業は増資によるメリットとリスクを明確にし、株主の利益を損なわないよう適切な手続きが求められます。
時価発行増資が多く利用される理由
近年、額面発行よりも時価発行が主流になってきています。理由は次の通りです。
・市場価格を基準にすることで透明性が高い
・発行価格が極端に安くならず、企業価値を損ないにくい
・投資家にとって「購入しやすい価格」で魅力を高められる
・調達のスピードと柔軟性が高い
特に、成長投資や設備投資、財務体質の強化が必要な企業にとって有力な手段となっています。
まとめ|時価発行増資は公正で柔軟な資金調達方法
時価発行増資は、市場価格を反映した公正な仕組みであり、企業にも投資家にもメリットのある資金調達方法です。
押さえておくポイント
・市場価格に近い価格で新株を発行する増資方法
・株価が高いほど少ない株数で大きな資金調達が可能
・投資家は市場より少し安い価格で購入できることが多い
・株主保護の観点から、公平性と説明責任が重要
・現在の市場では額面発行より主流になりつつある
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