棚卸資産は、企業の利益計算に大きく影響する重要な資産です。正しく理解しないまま管理すると、損益のズレや税額の誤りにつながることもあります。この記事では、棚卸資産の種類や評価方法、実地棚卸の重要性を初心者にもわかりやすく解説します。
棚卸資産とは
棚卸資産とは、販売目的または加工目的で保有している商品・材料・製品などを指します。損益計算上、仕入れた商品をそのまま費用にせず、売れるまで資産として計上する必要があります。
例:
仕入100,000円のうち50,000円分が期末に残っていた場合
仕入高100,000 / 現金100,000
棚卸資産50,000 / 仕入高50,000
棚卸資産は貸借対照表の「流動資産」に分類されます。
棚卸資産の分類
棚卸資産は以下のように分かれます。
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商品:仕入れたまま未販売のもの
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原材料:加工目的で仕入れた材料
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仕掛品・半製品:加工途中のもの
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製品・完成品:加工が完了したもの
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消耗品等の未使用分(切手・コピー用紙・カレンダーなど)
実地棚卸の重要性
帳簿上で在庫を管理できたとしても、実務では誤記・記入漏れなどヒューマンエラーが発生しがちです。
そのため、決算時には必ず「実地棚卸」を行い、実際に在庫を数えて帳簿と一致させる必要があります。
棚卸の誤りは、利益と税額の誤りに直結するため、とても重要なプロセスです。
棚卸資産の評価方法
棚卸資産は「原価法」と「低価法」のいずれかで評価します。
1. 原価法
取得原価を基準に評価する方法で、6つの種類があります。
● 個別法
実際の取得価格を個別に評価。宝石・不動産などに最適。
● 先入先出法
先に仕入れたものから順に販売される想定。物価変動の影響を受けやすい。
● 総平均法
期首在庫と当期仕入れを合算し平均単価を求める方法。
● 移動平均法
仕入れのたびに平均単価を更新。正確だが計算が複雑。
● 売価還元法
小売業向け。グループごとに原価率を使って評価する。
● 最終仕入原価法
期末に最も近い仕入価格を採用。選択しない場合のデフォルト。
2. 低価法
原価法で計算した金額と時価の低い方を採用する方法。
価値が下がった在庫を正しく反映できる点がメリットです。
評価方法の選択
棚卸資産の評価方法は、法人設立初年度の申告期限までに税務署へ届け出ます。
変更する際は、事業年度開始日の前日までに「変更承認申請書」が必要です。
選んだ方法は原則継続適用となるため、最初の選択が非常に重要です。
まとめ
棚卸資産は会社の利益を大きく左右するため、正確な管理と評価が欠かせません。適切な評価方法と実地棚卸を行えば、損益のズレや税務リスクを避けることができます。
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