標準報酬とは

標準報酬とは?わかりやすく解説|計算方法と年金・社会保険料への影響

厚生年金や健康保険の「保険料」や「将来の年金額」を決める基準として使われるのが 標準報酬 です。
実際の給料は人によって異なり、月ごとに変動することもあります。

そのままでは計算が煩雑になるため、一定の幅に区分した基準額(標準報酬月額・標準賞与額)が用いられます。
本記事では、年金の専門家が 標準報酬の仕組み・計算方法・実務上の注意点 をわかりやすく解説します。

標準報酬とは?

標準報酬とは、社会保険料や年金額を計算するために使う基準の報酬額 のことです。

標準報酬の内訳

  • 標準報酬月額:毎月の給与をもとに決める基準額

  • 標準賞与額:ボーナス(賞与)をもとに決める基準額

実際の支給額をそのまま使うのではなく、あらかじめ定められた等級区分に当てはめて計算します。

👉 例:月収が 286,000円 の場合
標準報酬月額は 28万円等級 となり、この金額を基準に保険料や年金額が計算されます。

なぜ標準報酬が必要なのか?

給料や賞与は、残業代・手当・歩合給などで毎月変動することがあります。
そのため、実額をすべて使うと保険料計算が煩雑になり、事務処理が難しくなります。

標準報酬を使うことで…

  • 誰でも同じルールで計算できる

  • 保険料の徴収や年金額の算出がスムーズ

  • 将来の年金額を見通しやすくなる

というメリットがあります。

標準報酬の決め方

1. 標準報酬月額

  • 毎年「定時決定(算定基礎届)」によって4月〜6月の給与をもとに決定

  • 昇給・降給などがあれば「随時改定」で見直し

  • 等級は現在 1等級(5.8万円)〜32等級(65万円) に区分

2. 標準賞与額

  • 支給された賞与額から1,000円未満を切り捨て

  • 上限は1回あたり 150万円

 

標準報酬と社会保険料・年金額の関係

標準報酬は、次の計算に使われます。

  • 健康保険料

  • 厚生年金保険料

  • 介護保険料(対象者の場合)

  • 将来の年金額

👉 例:標準報酬月額28万円の会社員の場合(東京都・協会けんぽ・40歳未満)

  • 健康保険料(本人負担分):約14,000円

  • 厚生年金保険料(本人負担分):約25,000円

※実際には会社が同額を負担するため、全体ではさらに大きな額が社会保険に拠出されます。

実務で注意すべきポイント

  1. 昇給・降給があったときは「随時改定」を忘れない

  2. 賞与は支給のたびに標準賞与額が決定される

  3. 標準報酬が高ければ保険料は増えるが、その分将来の年金額も増える

 

まとめ

標準報酬は、社会保険料の計算だけでなく、将来受け取る年金額にも直結する重要な基準です。
自分の「標準報酬月額・標準賞与額」がどの等級にあるのかを知ることで、毎月の手取りや将来の年金額を見通しやすくなります。

さらに参照してください:

標準報酬月額とは?仕組みと年金・保険料への影響をわかりやすく解説