「標準報酬月額」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、厚生年金や健康保険などの 社会保険料の計算基準 となる重要な仕組みであり、さらに将来の年金額にも直結します。
本記事では、年金の専門家が 標準報酬月額の意味・決め方・実務への影響 を初心者にもわかりやすく解説します。
標準報酬月額とは?
標準報酬月額とは、社会保険料や年金額を計算する際に用いられる基準額 のことです。
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対象となる「報酬」には、基本給・役職手当・通勤手当・残業手当など が含まれます。
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一方で、臨時に支払われる報酬や、3カ月を超える期間ごとに支払われる賞与(ボーナス)は含まれません。
実際の給与額をそのまま使うのではなく、一定の区分に当てはめて「等級化」し、保険料や年金額の計算に使います。
標準報酬月額の等級区分
標準報酬月額は、1等級(8万8千円)〜32等級(65万円) に区分されています。
たとえば、月給が 29万円 の場合は「標準報酬月額 29万円等級」となり、この金額をもとに保険料が算出されます。
👉 ポイント
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等級に当てはめることで事務処理が簡単に
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毎月の変動を吸収し、安定的に保険料を計算可能
標準報酬月額の見直し
標準報酬月額は、原則として 年に1回(定時決定) 見直されます。
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毎年7月に提出する「算定基礎届」により、4〜6月の給与をもとに算定
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昇給・降給など大きな変動があれば「随時改定」が行われることもあります
標準報酬月額と保険料の関係
標準報酬月額に 保険料率 を掛けたものが、実際に支払う社会保険料になります。
例:標準報酬月額30万円の場合(40歳未満・東京都・協会けんぽ)
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健康保険料(本人負担):約15,000円
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厚生年金保険料(本人負担):約27,000円
※会社も同額を負担するため、実際の社会保険料総額はその2倍となります。
標準報酬月額と将来の年金額
標準報酬月額は、現役時代の年金額を計算する基礎にも使われます。
年金額の算定式の一部
つまり、現役時代の標準報酬月額が高ければ高いほど、将来の年金額も増える仕組みになっています。
まとめ
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標準報酬月額は、社会保険料と将来の年金額を決める基準
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毎年1回の定時決定で見直され、昇給・降給時には随時改定もあり
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標準報酬月額が高いと保険料は増えるが、その分将来の年金額も増える
自分の「標準報酬月額」がどの等級にあるのかを確認することは、手取り額の管理や老後の生活設計に欠かせません。
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