企業経営をしていると、「欠損金」という言葉を耳にすることがあります。
法人税の計算に関わる重要な概念ですが、初心者や非専門家には少し分かりにくい用語かもしれません。
この記事では、欠損金の意味や計算方法、繰越控除制度の仕組み、さらに具体的な事例を交えてわかりやすく解説します。
中小法人の経営者や経理担当者、法人税の基本を知りたい方におすすめです。
欠損金とは？
欠損金とは、法人税法上の用語で、事業年度の損金（費用）が益金（収益）を上回り、所得金額がマイナスになる状態を指します（法人税法第2条第1項第19号）。
簡単に言うと、
「会社の1年間の利益が赤字になった状態」
です。法人税を計算する際、所得金額＝益金−損金がマイナスになると、課税所得はゼロ未満となり、当期の法人税は発生しません。
欠損金と繰越控除制度
欠損金は単に「赤字」として終わるわけではなく、翌期以降の利益と相殺できる制度があります。これを「欠損金の繰越控除」と呼びます。
繰越控除の基本ルール
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対象：青色申告書を提出している法人
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期間：最大10年間
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制限：資本金1億円超の大法人や、資本金5億円以上の法人の100％子会社などは、相殺できる欠損金に制限あり
つまり、赤字が出た年度の欠損金は、最大10年にわたって利益と相殺でき、法人税の負担を軽減できるのです。
欠損金繰越の具体例
例えば、中小法人で青色申告書を提出しているケースを考えてみましょう。
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第1期：1000万円の欠損金が発生
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第2期：課税所得が500万円の場合
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第1期の欠損金と相殺される
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この期の法人税・事業税・住民税（法人税割）は支払いなし
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第1期から繰り越した欠損金の残り500万円はさらに繰越し
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第3期：課税所得が600万円の場合
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繰越欠損金500万円と相殺
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差額の100万円のみが課税所得となり、法人税の対象となる
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このように、赤字を翌期以降の利益と相殺することで、税金の負担を平準化できるのが繰越欠損金制度の大きなメリットです。
注意点
欠損金の繰越控除を利用する際には、以下のポイントに注意してください。
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青色申告書の提出が必須
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青色申告をしていない場合、災害損失など一部の特例を除き、繰越控除は利用できません
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大法人は相殺制限あり
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資本金1億円超の大法人や資本金5億円以上の子会社の場合、全額控除できない場合があります
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期限を確認
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繰越控除の期限は最大10年。古い欠損金は期限切れになるため注意が必要です
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まとめ
欠損金は、法人税計算上の赤字を指し、翌期以降の課税所得と相殺できる「繰越控除制度」が設けられています。
適切に活用すれば、法人税の負担を軽減し、キャッシュフローの安定化にも役立ちます。
法人税申告を行う際には、青色申告の提出状況や大法人での相殺制限、繰越期限に注意しながら、欠損金を正しく処理することが重要です。
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