死差益とは

死差益(しさえき)とは?生命保険の「三利源」のひとつをやさしく解説

生命保険には、保険会社が利益を得る3つの仕組みがあるのをご存じでしょうか?
その中のひとつが、今回ご紹介する 「死差益(しさえき)」 です。

一見むずかしそうに見える言葉ですが、仕組みは意外とシンプル。
この記事では、死差益の意味や仕組み、他の「利差益」「費差益」との違いまでわかりやすく解説します。

死差益(しさえき)とは?

「死差益」とは、生命保険会社が契約者の死亡率を予測して保険料を決めたとき、実際に亡くなる人が予測より少なかった場合に発生する利益のことです。

具体的に言うと…

保険料の計算には「予定死亡率」という数値が使われています。
これは「この年齢の人が何人に1人の確率で亡くなるか」を示す予測値です。

たとえば、予定死亡率で「100人中1人が亡くなる」と想定して保険料を設定したのに、実際には「200人中1人しか亡くならなかった」場合、
保険会社は死亡保険金の支払いが予想より少なく済むため、その差額が「死差益」として利益になります。

死差益は保険会社の「三利源」のひとつ

生命保険会社の利益には、次の3つの柱があります。これを 「三利源(さんりげん)」 と呼びます。

利益の種類 内容 発生条件
死差益(しさえき) 実際の死亡率が予定より低い 死亡保険金の支払いが少なかった場合
利差益(りさえき) 実際の運用益が予定より高い 予定利率以上の運用収益が出た場合
費差益(ひさえき) 実際の経費が予定より少ない 予定していた事業費より節約できた場合

このように、死差益は「実際に亡くなった人が少なかった」ことによって生じる利益であり、保険会社の経営を支える大切な収益源のひとつです。

死差益は契約者にとって損なの?

「じゃあ、保険会社がもうかるってことは、私たち契約者は損してるの?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

実際の死亡率が低いということは、私たちが長生きしている=健康でいられるということです。
その結果、保険会社は利益を得られますが、それは健全な保険制度の継続に役立つものでもあります。

また、保険商品によっては、こうした利益の一部を契約者に配当金という形で還元する場合もあります。
(例:利差配当付き保険など)

損害保険では「死差益」とは言わない?

はい、その通りです。損害保険の場合は「死亡率」ではなく「事故や災害による損害発生率」が基準になるため、
同じような考え方で発生する利益は 「危険差益(きけんさえき)」 と呼ばれます。

損保の「危険差益」とは?

たとえば、自動車保険で、事故率が予定よりも低くなり保険金の支払いが少なく済んだ場合に、保険会社が得られる利益です。

まとめ:死差益は「長生きの証」であり、保険制度の健全さの指標でもある

死差益は、「予定より人が亡くならなかった」ことで生じる利益です。
私たちが健康で長生きすることによって、保険会社も健全な経営を続けられ、保険制度の安定と信頼性につながっているのです。

少し専門的な用語ではありますが、保険の仕組みを理解する上でとても重要なキーワード。
保険を見直す際にも、こうした「三利源」の考え方を知っておくと、商品選びのヒントになるかもしれません。

さらに参照してください:

資産運用収益とは?保険会社の運用方針とその役割をやさしく解説