保険に関する用語の中でも、「比例填補(ひれいてんぽ)」は少し難しく感じる言葉のひとつです。
しかし、損害保険に加入する際には、補償内容を理解するうえで非常に大切な考え方です。
この記事では、比例填補の仕組みや具体例、実損填補との違い をわかりやすく解説します。
比例填補(比例填補方式)とは?
比例填補とは、保険会社が限度額の範囲内で、実際の損害額に対して契約時に定めた割合を保険金として支払う方式 のことです。
簡単にいえば、
「加入した保険金額が対象物の価値より低い場合、損害額すべては補償されず、契約時の割合に応じた金額しか支払われない」仕組みです。
比例填補の具体例
例として、自動車保険を考えてみましょう。
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自動車の実際の価値(車両価格):200万円
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加入している車両保険の金額:100万円
この場合、保険金額は車両価格の50%しか設定していない状態 です。
👉もし事故で 100万円の損害 を受けた場合でも、支払われる保険金は100万円ではなく、その50%である 50万円 にとどまります。
つまり、比例填補では「契約金額 ÷ 実際の価値」の割合が重要となり、その割合に応じて補償額が計算される仕組みです。
なぜ比例填補があるのか?
比例填補は、加入者が保険料を安くするために意図的に保険金額を低く設定した場合でも、公平性を保つために導入されている仕組みです。
もし、誰もが安い保険料で低い保険金額を設定し、事故時に全額補償を受けられるとすると、保険制度そのものが成り立たなくなってしまいます。
そのため「契約した補償範囲に見合った分だけ補償される」という考え方が比例填補です。
実損填補との違い
比例填補とよく比較されるのが 実損填補(じっそんてんぽ) です。
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比例填補
損害額 ×(保険金額 ÷ 保険の対象となる価額)で計算され、契約時の割合に応じて支払われる。 -
実損填補
損害額そのものを補償。契約した保険金額を上限に、損害があった分をそのまま支払う方式。
実損填補の具体例
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損害額が10万円 → 保険金は10万円支払われる
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損害額が100万円 → 保険金は100万円支払われる(ただし契約上限まで)
👉 実損填補は、損害額がそのまま支払われるため、加入者にとって直感的にわかりやすい仕組みです。
比例填補と実損填補の比較表
項目 | 比例填補 | 実損填補 |
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支払方式 | 損害額に契約割合をかけて計算 | 実際の損害額を補償 |
補償される額 | 契約金額が対象物の価額より低いと減額される | 損害額そのもの(上限あり) |
加入者への影響 | 保険金額を低く設定すると自己負担が増える | 実損分が補償されやすい |
まとめ
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比例填補(比例填補方式)とは、契約した保険金額が対象物の価値より低い場合、損害額に応じて比例した金額しか補償されない方式。
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公平性を保つための仕組みであり、保険制度を維持する上で欠かせないルール。
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実損填補との大きな違い は「損害額そのものを補償するか」「契約割合に応じて補償されるか」。
保険契約時に「保険金額をいくらにするか」を決める際、この仕組みを理解しておくことが非常に重要です。
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