「求償(きゅうしょう)」という言葉、あまり聞きなれないかもしれません。
しかし、交通事故や災害などで保険金が支払われたあとに、実は保険会社が“加害者”に対してお金を請求することがある──これがまさに「求償」です。
この記事では、保険の現場で使われる「求償」の意味や仕組み、実際のケースなどを初心者にもわかりやすく解説します。
✅ 求償とは?まずは基本の意味から
「求償」とは、何らかの支払いをした人が、その原因をつくった他人に対して、その支払い分を返してもらうことを意味します。
保険の世界では特に、以下のようなケースで使われます。
✅ 保険における「求償」の仕組みとは?
▶ 被保険者に代わって保険会社が請求する
交通事故などの被害者(=被保険者)が、加害者に損害賠償を請求できる立場にある場合、保険会社がその代わりに賠償を請求する権利を取得することがあります。これを「代位求償(だいいきゅうしょう)」といいます。
🔍 代位求償とは:
保険会社が被害者に保険金を支払ったあと、被害者が持っていた「損害賠償請求権」を引き継いで、保険会社が加害者に対して保険金の一部または全部を請求すること。
✅ 交通事故での求償の流れ【具体例】
ケース:Aさんが交通事故に遭い、相手は無保険だった
-
Aさんはケガの治療費をカバーするため、自身が加入する傷害保険から保険金を受け取った。
-
保険会社は、加害者(事故の相手)が本来負担すべき損害であると判断。
-
保険会社はAさんの代わりに、加害者に対して支払った保険金分を求償(返還請求)。
このように、被害者が直接請求しなくても、保険会社が代わりに動いてくれるのが「求償」のポイントです。
✅ なぜ保険会社が求償を行うのか?
求償は、保険制度の健全な運営にとって重要な仕組みです。
本来、加害者が負担すべき損害を保険会社が全額負担し続けると、保険料の高騰や公平性の欠如を招いてしまいます。
求償により加害者へ正当な請求を行うことで、次のようなメリットがあります。
-
🔹 保険金の不当な流出を防げる
-
🔹 保険制度の公正性が保たれる
-
🔹 被保険者に過度な負担をかけずに済む
✅ 求償と損害賠償の違いは?
混同しやすいですが、「損害賠償」は直接的な加害者への請求、「求償」は**間接的な請求(第三者が代わりに請求)**という違いがあります。
項目 | 損害賠償 | 求償 |
---|---|---|
請求者 | 被害者本人 | 保険会社など第三者 |
請求先 | 加害者 | 加害者 |
請求の理由 | 直接的な損害の補償 | 立替払い分の回収 |
✅ 求償される側(加害者)の注意点
加害者が自賠責保険や任意保険に加入していない場合、求償によって高額な請求を保険会社から直接受ける可能性があります。
👉 無保険での加害事故は、想像以上の経済的リスクがあるため要注意です。
保険加入は、自分自身を守るだけでなく、他人への責任を果たす手段でもあります。
✅ まとめ|「求償」は保険の裏側で重要な役割を果たしている
「求償」は、保険会社が被保険者に代わって加害者に損害を請求する、いわば“裏方のしくみ”ですが、保険制度の安定と公正を支える非常に重要なプロセスです。
-
交通事故や災害などで保険金が支払われたあと、
-
保険会社が加害者に対して損害分を返してもらうこと=「求償」
という基本を覚えておきましょう。
さらに参照してください: