投資家や経営者にとって「決算短信(けっさんたんしん)」は、企業の財務状況や経営成績を把握するための重要な情報源です。
しかし、専門用語が多く、初めて目にする方は「どこをどう読めばいいの?」と悩むことも少なくありません。
この記事では、決算短信の基本から読み方のポイントまで、初心者でもわかりやすく解説します。
決算短信とは?
決算短信とは、上場企業が通期・四半期の決算内容をまとめ、投資家や証券取引所に報告する書類です。
本来の正式な決算結果は「有価証券報告書」として3ヶ月以上後に公開されますが、決算短信は速報性を重視した「早めの情報提供」として位置づけられています。
決算短信の目的
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投資家に迅速に経営成績を伝える
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株価や投資判断に必要な情報を提供する
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上場企業としての情報開示義務を果たす
上場企業は、事業年度や四半期決算の内容が確定したら、原則として直ちに決算短信を開示する義務があります。
決算短信の発表時期
日本の企業は多くが3月末決算ですが、決算短信は以下のタイミングで発表されます。
決算種類 | 発表時期 |
---|---|
通期決算短信 | 4月下旬~5月中旬 |
第1四半期 | 7月下旬~8月中旬 |
第2四半期 | 10月下旬~11月中旬 |
第3四半期 | 1月下旬~2月中旬 |
※外国企業や一部の日本企業は決算月が異なる場合があります。
決算短信の種類
決算短信は大きく分けて「通期決算短信」と「四半期決算短信」の2種類があります。
1. 通期決算短信
事業年度1年間の決算をまとめたものです。
主な内容は以下の通りです:
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連結(個別)経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー
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配当状況や次期配当予想
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次期業績予想
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重要な子会社の異動や会社方針の変更
2. 四半期決算短信
3か月ごとの決算内容をまとめたものです。
投資家にタイムリーな情報を提供することが目的で、累計期間ごとの数字が中心となります。
決算短信と有価証券報告書の違い
項目 | 決算短信 | 有価証券報告書 |
---|---|---|
情報の正確性 | 速報値・予想を含む | 確定情報 |
情報量 | 数十ページ程度 | 数百ページと詳細 |
開示タイミング | 決算後45日以内 | 決算後3か月以内 |
法的拘束力 | 証券取引所規則 | 金融商品取引法に基づく提出義務 |
速報性の決算短信は、投資家が株価変動や投資判断を行う上で非常に有用です。
決算短信の読み方
決算短信は情報量が多いですが、まずは以下の4つのポイントを押さえると理解がスムーズです。
1. 連結経営成績
売上高、営業利益、経常利益、当期純利益など、企業の営業成績を確認します。
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売上高:本業で得た総収入
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営業利益:売上高-売上原価-販売費及び一般管理費
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経常利益:営業利益+営業外収益-営業外費用
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当期純利益:経常利益+特別利益-特別損失
2. 連結財政状態
総資産、純資産、自己資本比率、1株あたり純資産(BPS)などを見て、企業の財務健全性を把握します。
3. 連結キャッシュ・フロー
営業活動・投資活動・財務活動による現金の流れを確認。
本業での収支、設備投資や資金調達の状況がわかります。
4. 連結業績予想
次期の売上高や利益の予想を確認し、投資家は企業の成長性や戦略の妥当性を評価します。
決算短信を活用するメリット
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投資判断のスピードが向上する
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自社や他社の経営分析に活用できる
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経理・財務担当者のスキルアップにつながる
決算短信を理解することで、投資家はより正確な情報に基づいた意思決定が可能となり、経営者や財務担当者は事業戦略の改善や分析に役立てられます。
まとめ
決算短信は、企業の財務状況や経営成績をタイムリーに把握するための重要書類です。初心者でも、連結経営成績・財政状態・キャッシュフロー・業績予想の4ポイントを押さえれば、必要な情報を効率的に確認できます。投資活動や経営分析に活用して、情報に基づく判断力を高めましょう。
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