相続の手続きでは「誰がどのくらい財産を受け取るのか」という割合を決める必要があります。
遺言書で指定されていればその内容に従いますが、遺言がない場合は民法に定められたルール「法定相続分(ほうていそうぞくぶん)」に従って分けることになります。
この記事では、法定相続分の基本ルールを初心者にもわかりやすく解説し、具体的な割合をケースごとに紹介します。
法定相続分とは?
法定相続分とは、被相続人(亡くなった方)の財産を複数の相続人が分ける際に、民法で定められた相続割合のことです。
もし被相続人が遺言で相続分を指定していない場合、相続人たちはこの割合に従って財産を分け合うのが原則となります。
法定相続分の基本ルール(民法第900条)
民法では、配偶者を含む組み合わせごとに次のように定められています。
相続人の組み合わせ | 配偶者の相続分 | その他の相続人の相続分 |
---|---|---|
配偶者+子ども | 1/2 | 子ども全員で1/2(均等に分ける) |
配偶者+直系尊属(父母・祖父母) | 2/3 | 直系尊属全員で1/3(均等に分ける) |
配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 兄弟姉妹全員で1/4(均等に分ける) |
👉 ポイント
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子ども、直系尊属、兄弟姉妹が複数いる場合は均等に分け合うのが原則です。
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配偶者は常に相続人となり、組み合わせに応じて割合が変わります。
具体例で見る法定相続分
例1:配偶者と子ども2人の場合
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配偶者:財産の1/2
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子ども2人:残り1/2を均等に → 子ども1人あたり1/4
👉 仮に遺産が2,000万円なら、配偶者1,000万円、子ども1人500万円ずつ。
例2:配偶者と父母(直系尊属)の場合
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配偶者:財産の2/3
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父母:残り1/3を均等に分ける
👉 遺産3,000万円なら、配偶者2,000万円、父母はそれぞれ500万円ずつ。
例3:配偶者と兄弟姉妹3人の場合
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配偶者:財産の3/4
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兄弟姉妹:残り1/4を3人で均等に分ける
👉 遺産4,000万円なら、配偶者3,000万円、兄弟姉妹は1人あたり約333万円。
法定相続分に関する注意点
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遺言があれば遺言が優先
ただし遺留分(最低限の取り分)があるため、法定相続分が完全に無視されるわけではありません。 -
相続放棄をすると、その人は最初から相続人でなかったことになる
他の相続人の分配割合に影響します。 -
代襲相続(子どもが先に亡くなっている場合、その子ども=孫が相続人になる)も考慮が必要です。
まとめ
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法定相続分とは、遺言がない場合に民法で定められた相続割合のこと
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配偶者は常に相続人となり、他の相続人(子ども・直系尊属・兄弟姉妹)との組み合わせによって割合が変わる
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子どもや兄弟姉妹が複数いる場合は均等に分けるのが原則
相続は親族間のトラブルになりやすい分野です。割合を理解しておくことで、スムーズな話し合いや専門家への相談がしやすくなります。
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