減資差益とは

減資差益とは?わかりやすく解説

企業会計における「減資差益(げんしさえき)」とは、企業が欠損(赤字)を補填するために減資を行った際や、資本準備金を減らした際に、補填額を超えて余った金額が発生した場合、その超過分を計上する勘定科目のことをいいます。

簡単に言えば、「減資した結果、少しお金が余ったときに使う会計項目」です。

減資とは?まず基本をおさらい

「減資(げんし)」とは、企業が資本金を減らすことを指します。
一見すると「会社の規模を小さくする」ように感じますが、実際には多くの場合、経営状態を健全化するための会計上の手続きにすぎません。

主な目的は次の2つです:

  1. 欠損金(累積赤字)の補填
    → 赤字を減らし、財務状態を改善するため。

  2. 株主への払い戻し(配当)
    → 不要な資本金を株主に返すため。

 

減資差益が発生する具体例

たとえば、次のようなケースを考えてみましょう。

  • ある会社の資本金:1,000万円

  • 欠損(赤字):600万円

この会社が欠損を埋めるために、資本金を1,000万円 → 400万円に減らしたとします。
減らした600万円を使って欠損を補填しますが、もし実際の欠損額よりも多く減資した場合、差額が「余る」ことになります。

この余りの部分が「減資差益」として処理されます。
なお、正確な勘定科目名は「資本金及び資本準備金減少差益」です。

減資差損との違い

かつては、これと対になる概念として「減資差損(げんしさそん)」というものも存在しました。
これは、株主への払戻額が資本金の減少額を上回ったときに発生する損失です。

しかし、2002年の商法改正によって、こうした「資本金を超える払戻し」を伴う減資は認められなくなりました。
そのため、現在では減資差損は発生しません

減資差益が登場する場面まとめ

減資差益は、以下のようなケースで登場します。

  • 欠損補填や払い戻しを目的に減資を実施

  • 減資後に余剰額(差益)が発生

  • その差益を「資本金及び資本準備金減少差益」として計上

財務諸表上では「資本剰余金」の一部として扱われることもあります。

まとめ

項目 内容
用語 減資差益(げんしさえき)
意味 減資や資本準備金の減少により、補填額を超えて余った金額
勘定科目 資本金及び資本準備金減少差益
対概念 減資差損(現在は発生しない)

さらに参照してください:

級数法とは?減価償却の計算法をわかりやすく解説