医療や保険の分野でよく耳にする「病床区分(びょうしょうくぶん)」。
一見むずかしそうな言葉ですが、簡単に言えば 「病院のベッドを、患者さんの病気や状態に応じて分類したもの」 を指します。
この記事では、病床区分の種類や特徴を、初心者にもわかりやすく解説します。
病床区分とは?
病床とは、病院や診療所に設置されている 患者が入院して治療を受けるためのベッド のことです。
医療法によって、その病床は患者の状態や必要な医療に応じて区分されています。
かつては「精神病床・感染症病床・結核病床・その他の病床」という 4区分 でしたが、法改正によって「その他の病床」がさらに細分化され、現在は次の 5区分 に整理されています。
病床の5つの区分
1. 一般病床
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対象:急性疾患の患者(例:肺炎や心筋梗塞、手術後の回復期など)
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特徴:短期的に集中的な治療が必要な患者を対象とした病床。
👉「入院したらすぐに治療や検査が始まる」イメージのベッドです。
2. 療養病床
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対象:病状は安定しているものの、長期療養が必要な患者(例:脳卒中の後遺症や慢性疾患など)
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特徴:リハビリや長期療養に対応。医療的ケアが継続して必要な人向け。
👉「在宅療養は難しいが、急性期の治療は終わった」患者さんが入ることが多いです。
3. 精神病床
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対象:統合失調症、うつ病など精神疾患の患者
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特徴:精神科に特化した治療環境とスタッフ体制が整えられている。
4. 感染症病床
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対象:新型インフルエンザや結核など、感染症の患者
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特徴:隔離や特殊な設備が必要なため、ベッド数は限られている。
5. 結核病床
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対象:結核の患者
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特徴:かつては多数必要とされたが、現在は減少傾向。感染症病床とともに、感染拡大防止のための環境が整備されている。
なぜ病床区分が重要なのか?
病床区分は単なる「ベッドの種類」ではなく、医療提供体制や保険制度に直結する要素 です。
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患者の状態に合った治療を受けられる
→ 急性期か慢性期かで必要な治療内容が異なるため、それぞれに最適な病床が用意されている。 -
保険診療や医療費に影響する
→ 病床の種類によって、医療報酬(病院が受け取る診療報酬)の仕組みが異なるため、患者負担額にも関わる。 -
高齢化社会への対応
→ 高齢者は慢性疾患や長期療養が必要になるケースが多く、療養病床の存在が重要になっている。
まとめ
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病床区分とは、病院のベッドを患者の病態や治療内容に応じて分類したもの。
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現在は「一般病床・療養病床・精神病床・感染症病床・結核病床」の 5区分 に整理されている。
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医療の質や保険制度、患者の負担額にも関わるため、医療制度を理解するうえで欠かせない用語。
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