「税務会計って、財務会計や管理会計と何が違うの?」
経理や会計に関わり始めたばかりの方にとって、似たような用語が多くて混乱しがちですよね。
この記事では、税務会計の基本的な考え方・目的・他の会計との違い・法人税の計算方法まで、現役の会計専門家がやさしく解説します。
これを読めば、「税務会計とは何か?」が一気に整理できるはずです。
🔍 税務会計とは?基本の定義と目的
税務会計(ぜいむかいけい)とは、
👉「税金を正しく計算し、申告・納付を行うための会計」のことです。
目的は税金計算の正確性にあります。
そのため、会計基準ではなく、法人税法・所得税法・消費税法といった「税法」に従って処理を行います。
税務会計の主な対象税目
-
法人税
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所得税
-
消費税
税務会計が行われるシーンの例
| 対象者 | 主な目的 | 会計の種類 |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 所得税の計算のため | 税務会計 |
| 法人 | 財務会計の決算を基に法人税を算出 | 税務会計+財務会計 |
💡 税務会計と他の会計の違いを整理しよう
1️⃣ 税務会計と財務会計の違い
| 比較項目 | 税務会計 | 財務会計 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 税金計算 | 財務状況・業績の報告 |
| 基準 | 税法 | 会計基準(企業会計原則など) |
| 利用者 | 税務署 | 株主・投資家・金融機関 |
| 代表的な書類 | 申告書 | 決算書・財務諸表 |
💬 たとえば「引当金」の扱いがわかりやすい例です。
財務会計では将来の費用を見越して引当金を計上できますが、税務会計では原則として認められません。
この差異を調整するために登場するのが税効果会計です。
2️⃣ 税務会計と管理会計の違い
| 比較項目 | 税務会計 | 管理会計 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 税金計算 | 経営判断の支援 |
| 基準 | 税法 | 任意(会社ごとのルール) |
| 利用者 | 税務署 | 経営者・管理者 |
| 代表的な内容 | 法人税計算・申告 | 予算管理・コスト分析 |
管理会計は、経営の意思決定を助けるための「社内向け会計」であり、法的な形式は求められません。
そのため、税務会計とはまったく性質が異なります。
3️⃣ 税務会計と企業会計の違い
「企業会計」という言葉は少し曖昧で、広義と狭義で意味が変わります。
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広義の企業会計:企業が行うすべての会計(財務会計・管理会計・税務会計を含む)
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狭義の企業会計:財務会計と同義(企業会計原則の意味)
つまり、税務会計は企業会計の一部とも言えます。
🏢 個人事業主と法人で異なる税務会計の考え方
個人事業主の場合
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所得税を計算するためだけに帳簿をつける。
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決算書を公表しないため、完全に税務会計中心。
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税法上のルール(青色申告特別控除など)を優先。
法人の場合
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財務会計で決算書を作成(会計基準に基づく)。
-
その後、法人税の計算のために税務調整を行う。
-
財務会計の利益 ≠ 法人税の課税所得
→ この差を埋めるための調整が「税務会計」。
🧮 法人税の計算は税務会計に基づく
法人税は、財務会計で算出した「税引前当期純利益」を基に次のような流れで求めます。
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財務会計の利益を確定する
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税務上の調整を行う(益金・損金の加減算)
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課税所得を算出
-
法人税率を掛けて法人税額を計算
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税効果会計で一時差異を調整
税務会計は、この「2〜3の部分」を担う重要な会計です。
🧾 税効果会計とは?
税効果会計とは、
「会計上の利益」と「税務上の所得」のズレ(タイミングの差)を期間配分して調整する手法です。
たとえば、
財務会計上は減価償却費を多めに計上しても、税務上では一部が損金不算入となることがあります。
このような差を将来にわたって調整し、財務諸表に正確な税金費用を反映させるのが税効果会計です。
📚 まとめ:税務会計の基礎を理解して正しい申告を!
| 会計の種類 | 主な目的 | 基準 | 利用者 |
|---|---|---|---|
| 税務会計 | 税金計算 | 税法 | 税務署 |
| 財務会計 | 財務報告 | 会計基準 | 投資家など |
| 管理会計 | 経営判断 | 任意 | 経営者 |
| 企業会計 | 上記すべてを包含 | — | — |
税務会計は、「税金を正しく計算するための会計」であり、企業運営には欠かせない基礎知識です。
特に法人の場合、財務会計と税務会計の関係を理解することが、法人税の正確な申告につながります。
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