法人が加入する生命保険には、単に保障を得るだけでなく、会計処理や資産形成の観点で特徴的な仕組みがあります。そのひとつが 「簿外資産(ぼがいしさん)」 です。
この記事では、簿外資産の基本的な意味や仕組み、なぜ企業にとって重要なのかを、初心者にもわかりやすく解説します。
簿外資産とは?
簿外資産とは、法人契約の生命保険で損金処理を行った結果、帳簿上には計上されていないものの、解約返戻金として保険会社に積み立てられている資産のこと を指します。
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損金処理:法人が支払う保険料の一部または全部を「経費」として扱うこと。
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解約返戻金:契約を途中で解約した際に戻ってくるお金。
つまり、「今は帳簿に載っていないけれど、将来的に解約返戻金として戻ってくる可能性のあるお金」が簿外資産といえます。
簿外資産が生まれる仕組み
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会社が法人契約の生命保険に加入し、保険料を支払う。
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保険料の一部または全部が損金処理され、経費として計上される。
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帳簿上は資産として残らないが、実際には保険会社に解約返戻金が積み立てられていく。
結果として、「帳簿外で積み立てられている資産」=簿外資産となります。
簿外資産のメリットと注意点
メリット
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将来の資金準備に活用できる
解約返戻金を利用して、設備投資や事業承継資金に充てることが可能。 -
節税効果が期待できる
保険料を損金処理できるため、法人税の負担軽減につながる。
注意点
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会計処理や税務リスクがある
法改正や税務調査によって、思わぬ課税対象になる可能性がある。 -
解約タイミングに注意
解約返戻金は契約時期によって大きく変動するため、解約のタイミングを誤ると損をするケースも。
簿外資産の具体例
例えば、ある企業が毎年300万円の保険料を10年間払い続ける法人向け生命保険に加入したとします。
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毎年の保険料は損金として処理され、経費扱いになる。
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帳簿上には資産が残らないが、保険会社には徐々に解約返戻金が積み立てられていく。
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10年後に解約すると、まとまった返戻金を受け取れる。
この返戻金こそが「簿外資産」と呼ばれるものです。
まとめ
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簿外資産とは、法人契約の生命保険において損金処理を行うことで帳簿には計上されないが、保険会社に解約返戻金として蓄積されている資産のこと。
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将来の資金準備や節税に役立つ一方、税制改正や解約時期によってリスクもある。
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法人保険を活用する際には、専門家(税理士・保険コンサルタント)に相談しながら、戦略的に活用することが重要。
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